アジア

2026.02.03 10:30

中国の不動産不況が都市にもたらす「信じがたい機会」──新天地はいかにして上海の象徴になったのか

Costfoto/NurPhoto via Getty Images

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米国人建築家のベンジャミン・ウッドは、中国において、当初は成功が危ぶまれたプロジェクトを、最終的には上海の象徴と呼ばれるまでに押し上げた功績により、その名を知られるようになった。このプロジェクトによって、「新天地」と呼ばれるこの無名の地域は一躍人気となり、香港のデベロッパーであるシュイオンランドは、古い建物を再生し、アジア有数の富裕都市の1つに新たな生命を吹き込んだとして、数々の賞を受賞した。

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また、それより新しいウッドとシュイオンランドによるプロジェクト、蟠龍天地は、上海西郊の水郷に位置し、商業施設と住宅を、歴史的保全集落の住宅や橋、運河といったインフラと組み合わせたものである。同プロジェクトも受賞歴を持ち、上海から訪れる観光客からも高い評価を得ている。

供給過剰に直面する都市への青写真

77歳のウッドは最近の電話インタビューの中で、新天地と蟠龍天地が示した、働く・暮らす・遊ぶを融合した街づくりの成功は、人々の都市環境に対する考え方を変える「信じがたい機会」を示しており、大規模な不動産の供給過剰に苦しむ中国の各都市が進むべき道を指し示していると語った。

都市計画の担当者は、オフィス街と住宅地を分離するのではなく、独自の個性を持つ「半自律的」な地区の集合体として、居住と就業を組み合わせることを目指すべきだとウッドは述べた。ウッドが率いるStudio Shanghai(スタジオ・シャンハイ)は現在、この考え方に基づき、西安などの都市で新たなプロジェクトを進めている。マサチューセッツ工科大学で学んだウッドは、1960年代にボストンのファニエル・ホール周辺地域の再開発で名を馳せた伝説的建築家、ベンジャミン・トンプソンに学んだ人物でもある。

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中国には大胆な発想が必要だ。不動産の過剰供給は、世界の億万長者に名を連ねていた多くの不動産開発業者を苦境に追い込み、債券投資家には損失をもたらしてきた。最も象徴的なのが、恒大集団(エバーグランデ)創業者の許家印である。2017年にフォーブスが発表した中国人長者番付において、許は推定資産425億ドル(約6兆5800億円)で首位に立ったが、現在彼は巨額の債務を抱え、中国当局に拘束されていると報じられている。

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翻訳=江津拓哉

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