教育

2026.03.12 14:15

あの頃の学校、ビニール袋はめた腕相撲を忘れない。『がっこうとコロナ』刊行

絵本『がっこうとコロナ』(松下隼司作、オクダサトシ絵、教育報道出版社刊)より

絵本『がっこうとコロナ』(松下隼司作、オクダサトシ絵、教育報道出版社刊)より

大阪の公立小学校教師が、ダンサー・役者・絵本作家であるオクダサトシ氏と1冊の絵本を刊行した。『がっこうとコロナ』(教育報道出版社刊)だ。思いたったのは、6年生の担任をしていたコロナ禍の1年目。なぜコロナ下の学校について綴ろうと思ったのか。

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著者の松下隼司氏から以下ご寄稿をいただいた。絵本の中身の一部とともに紹介する。


2020年3月2日から、新型コロナウイルス感染症対策のため、 全国の小・中・高・特別支援学校が一斉に臨時休校になりました。

そして休校明け、子どもが登校するようになっても、今まで当たり前にできていたことができなくなりました。

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具体的には、次のようになりました。 

1. ソーシャルディスタンスを保つ

2. 子ども同士のふれあいが禁止

3. 教師が子どもとハイタッチするなども禁止

4. 給食は全員が前(一方向)を向いて、黙食。

5. 給食後の歯磨き、禁止。

6. 授業は、話し合いをしない。

7. 教室の座席は、隣同士、席をくっつけない。

8. 休み時間は、ドッジボール禁止。

9. 遠足、林間、修学旅行の中止や延期。

10. フェイスシールドをつけて、音楽の授業を受ける。

11.児童朝会は運動場や講堂でしないで、放送で受ける。(密を避けるため)

 教師として、父として向き合った「あの日」

大阪の公立小学校で教師をして23年。そして家へ帰れば、私自身も二人の子を持つ父親です。そんな私が、これまでの長い教員生活の中で、最も「教育とは何か」を根底から問い直したのが、コロナ禍の1年目、6年生の担任をしていた時でした。

本来ならば、小学校生活の集大成として喜びと活気に満ち溢れるはずの最終学年。しかし、待っていたのは想像を絶する制限の数々でした。卒業遠足は中止、運動会からは団体演技が消えました。修学旅行に行けたものの、バスの中ではレクリエーションが禁止され、子どもたちはただ黙ってテレビ画面を見つめていました。宿舎の部屋の中でもマスクを着用し、食事はもちろん「黙食」です。

一人の父親として、我が子の行事が消えていくことに胸を痛める日々。そして一人の教師として、教室で「離れなさい」「喋ってはいけません」と指導し続けなければならない葛藤。教育の本質とは真逆の言葉を口にしなければならない毎日は、私にとっても非常に苦しい時間でした。

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文=松下隼司 編集=石井節子

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