大阪の公立小学校教師が、ダンサー・役者・絵本作家であるオクダサトシ氏と1冊の絵本を刊行した。『がっこうとコロナ』(教育報道出版社刊)だ。思いたったのは、6年生の担任をしていたコロナ禍の1年目。なぜコロナ下の学校について綴ろうと思ったのか。
著者の松下隼司氏から以下ご寄稿をいただいた。絵本の中身の一部とともに紹介する。
2020年3月2日から、新型コロナウイルス感染症対策のため、 全国の小・中・高・特別支援学校が一斉に臨時休校になりました。
そして休校明け、子どもが登校するようになっても、今まで当たり前にできていたことができなくなりました。
具体的には、次のようになりました。
教師として、父として向き合った「あの日」
大阪の公立小学校で教師をして23年。そして家へ帰れば、私自身も二人の子を持つ父親です。そんな私が、これまでの長い教員生活の中で、最も「教育とは何か」を根底から問い直したのが、コロナ禍の1年目、6年生の担任をしていた時でした。
本来ならば、小学校生活の集大成として喜びと活気に満ち溢れるはずの最終学年。しかし、待っていたのは想像を絶する制限の数々でした。卒業遠足は中止、運動会からは団体演技が消えました。修学旅行に行けたものの、バスの中ではレクリエーションが禁止され、子どもたちはただ黙ってテレビ画面を見つめていました。宿舎の部屋の中でもマスクを着用し、食事はもちろん「黙食」です。

一人の父親として、我が子の行事が消えていくことに胸を痛める日々。そして一人の教師として、教室で「離れなさい」「喋ってはいけません」と指導し続けなければならない葛藤。教育の本質とは真逆の言葉を口にしなければならない毎日は、私にとっても非常に苦しい時間でした。



