米主要企業CEOが集う円卓会議による「トランプ政権」に関する議論とは。創設者であるイェール大学経営大学院教授のジェフリー・ソネンフェルドに聞いた。
米主要企業の最高経営責任者(CEO)はトランプ関税をどうみているのか? 米政府によるUSスチールの「黄金株」取得についての見解は?
こうした米CEOの本音を知り尽くしているのが、イェール大学経営大学院のジェフリー・ソネンフェルド教授だ。同大学の「チーフエグゼクティブ・リーダーシップ研究所(CELI)」創設者・所長でもある彼は35年前、「CEOコーカス」を創設。米主要企業のCEOなどを首都ワシントンに集め、定期的に円卓会議を主催している。
直近のコーカス(2025年9月17日)のテーマは、ズバリ「不確実性を極める時代の投資ルール」だ。米ゼネラル・モーターズ(GM)や米ファイザーなど、主要企業のCEO、70人が参加。非公開で、トランプ政権に関する本音をぶつけ合った。米CEOらのトランプ観や、日本企業が取るべき対トランプ戦略などについて、ソネンフェルド教授とスティーブン・エンリケスCELI上級研究員に聞いた。
──まず、CEOコーカスの目的を教えてください。
ジェフリー・ソネンフェルド(以下、ソネンフェルド):CEOコーカスは、世界初の、現職CEOを対象とした非営利・無党派中立の「学校」といったところだ。さまざまな業界のCEOが集い、非公式かつ即興で自由に意見を交換する。
なぜ、こうした方法を採用しているのか? 「魚は頭から腐る」からだ。高い地位にある人々が建設的なフィードバックや異論を耳にする機会がないと、停滞し、組織全体がマヒする。そして、環境の変化に適応できない組織になってしまう。
ずば抜けた業績をもち、知名度もあるCEOは時として威圧的になる。部下は怖気づき、悪い知らせを報告できない。
また、CEOは世界中を飛び回っているため、フィードバックを得られるような、気の置けない人間関係を築きにくい。部下の幹部も、さまざまな思惑を心に秘めている(ため、気を許せない)。だからこそ、CEOらが率直に語り合える場をつくった。
関税、インフレなど政権との見解対立
──米主要企業のCEOはトランプ政権について、どう考えていますか。
ソネンフェルド:まず、関税について話そう。トランプ大統領は、他国の政府や輸出業者が米国の関税を負担していると言うが、当日の調査結果によると、76%のCEOは、そう考えていない。内訳は、「国内の輸入業者」だとする人が46%、「消費者」だと考える人は30%だ。
また、「関税は自社の事業に有害だ」と考えるCEOは71%だ。現在、連邦最高裁が相互関税の合憲性を審理中だが、関税を違憲だとみなす人は74%に上る。
こうしたCEOの見解は、どれもトランプ大統領の主張と真っ向から対立する。これは非常に重要な点だ。



