働き方

2026.01.30 13:00

朝9時から夜9時・週6日の「996勤務」は持続不可能、従業員・経営者ともに機能しない理由

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996の理論

996という考え方は、2010年代後半の中国のテック業界で生まれ、著名な起業家たちによって推奨された。Alibaba(アリババ)の創業者のジャック・マーは、かつて996を「かけがえのないもの」と呼び、「余計に努力と時間を注ぐことなくして、どうして成功が可能だろうか」と語ったこともある。だがやがて反発が強まり、2021年には中国の最高裁は企業が従業員に週72時間労働を強いることを禁じた。

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それでも996の考え方は中国国内にとどまらず、最近では急成長する人工知能(AI)企業の間にも広がっている。いくつかの企業は、入社を検討する人に対してどのような働き方が待っているのかをあらかじめ警告している。たとえば会話データ分析のRilla(リラ)は、職務内容で週70時間労働を想定していることを明記している。コード生成AIツール開発のCognition(コグニション)は従業員に週80時間労働を求めており、同社の最高経営責任者(CEO)は「私たちはワークライフバランスを信じていない」と誇らしげに語っている。

書籍『The Code: Silicon Valley and the Remaking of America』著者のマーガレット・オマラは996について「以前からテック業界に存在していたものをさらに強めたバージョン」だと言い表している。リンクトインでは、より人間らしい働き方を求める投稿が目立つが、多くのスタートアップの現場の現実はそれとは程遠い。言い回しこそ進化したかもしれないが、呼び名が何であれ、週72時間労働は卓越性を持久力に変え、無理なペースでがむしゃらに働く人を称賛し、境界線を引く人を罰する。

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翻訳=溝口慈子

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