制作ワークフローの革命〜瞬間をメディアに変えるAIのスピード
制作現場を支えるのもまたAI技術である。
膨大な映像素材を処理し、世界中に届けるまでのプロセスが、かつてないスピードで自動化されようとしている。CEOは「放送局には、従来のテレビ放送だけでなく、デジタルやSNS向けの短尺動画、縦型動画など、多様なフォーマットが求められている。我々は北京五輪の1000時間と比較し、ミラノでは6000時間以上のコンテンツを制作する。これを実現できるのは、AIを含めたクラウドや自動化技術のおかげであり、より少ないリソースで、より多くを制作できる」と訴えた。
五輪期間中には、数千時間にも及ぶライブビデオが生成される。膨大なアーカイブから必要なシーンを探し出すのは、人海戦術に頼る大変な作業だった。OBSはここに「自動メディア記述(Automatic Media Description: AMD)」プラットフォームを導入。AIが放送映像を解析し、検索可能なクリップへと自動的に分解。さらに、「男子アイスホッケー」「ゴールシーン」「歓喜」といったショットの説明やキーワードを提案。これにより、編集者や放送権を持つメディアパートナーは、ストーリーテリングに必要な決定的瞬間や特定の選手の映像を、瞬時に検索・抽出することが可能になる。AIは、クリエイターが「探す時間」を極限まで減らし「創る時間」を最大化するための強力なアシスタントとなる。
さらに、冬季五輪史上初めて「自動ハイライト生成」が本格導入される。AIは、競技映像からハイライトシーンを自動的に識別・生成し、編集上の最高水準を維持しながら、数分以内にウェブやSNSなどのあらゆるプラットフォームへ配信可能な状態にする。パリ五輪では、すでに10万本以上のハイライトがこの技術によって生成された実績がある。ミラノ・コルティナでは、この技術がさらに洗練され、「瞬間からメディアへ」のタイムラグを極限までゼロに近づける。我々は、地球の裏側で起きた感動の瞬間を、ほぼリアルタイムで自分のスマートフォンで共有できるようになる寸法だ。


