デジタルの進化〜AIが実現する最適化コンシェルジュ
OCSは、またウェブサイトやアプリといったデジタルプラットフォーム上でのファンエンゲージメントを、AIの力で受動的な視聴から能動的な体験へと変革させようとしている。
もっとも興味深いのは「Olympic AI」アシスタントだろう。
今となっては誰もが利用する生成AIを活用した対話型アシスタント「Olympic AI」を登場させる。Olympics.comの膨大なコンテンツに特化し学習させたソリューションは、本大会期間中、初めてリアルタイムの結果情報や競技状況を統合し提供する能力を持つに至る。CEOは記者団からの質問に対し「12の言語に対応し、ハルシネーション(AIが嘘をつく現象)を防ぐため、品質管理されたデータのみを使用している」とし、「Olympic GPTを一般公開する。これは世界中のファンが五輪に関するあらゆる質問に答えられるAIパートナーとなる。重要なのは、情報のソースがインターネット上のランダムなものではなく、検証された正確で偏りのない公式情報であるという点だ」とその信頼性を強く訴えた。ちなみに、これには日本語も含まれるとのこと。果たして、その精度はいかばかりか、期待が高まる。
ユーザーインターフェースには「子供向けの五輪活動はあるか」「アルペンスキーについて説明を」といった具体的な質問例が並ぶ。ユーザーは自然言語で問いかけるだけで、AIが文脈を理解し、膨大なデータベースから最適な回答やコンテンツを即座に提示する。これまでは検索窓にキーワードを入力し、結果一覧から目的の情報を探す必要があったが、これからはAIが専属のコンシェルジュとして、ファン一人ひとりの疑問に答える時代となる。
また情報過多の時代において、ファンが真に求めているコンテンツに瞬時にたどり着けるよう、AIがナビゲーターの役割も果たす。Olympics.com上の記事に、AIによる要約機能を実装。記事の冒頭に、AIが生成した簡潔な要点が表示され、ユーザーは読むべき記事かどうかを自身で判断できる。移動中や隙間時間にスマートフォンで情報をチェックするモバイルユーザーにとって、ユーザビリティを飛躍的に向上させる機能となる。
要約は、関連する動画やより深いストーリーへのガイド役も果たし、サイト内回遊率の向上にも寄与。さらに、OCSはAIを用いてリアルタイムのトラフィック急増を分析し、ファンが最も関心を寄せている「興味深い瞬間」を特定する。
例えば、フィギュアスケートでイタリア文化へのオマージュを捧げる選手たちの演技が話題になれば、AIはそのトレンドを感知し、関連コンテンツを動的に表面化させる。資料では「三浦璃来と木原龍一のグラディエーターに触発されたルーティン」や「アダム・シャオ・イム・ファ(仏代表)のルネサンスへのオマージュ」といった具体的な文脈をAIが理解し、ハイライトとして提示する様子が描かれている。これにより、単なる競技結果だけでなく、その背後にある文化的ストーリーや感情的なドラマを、ファンは見逃すことなく享受できるカラクリだ。


