小山:常にロック魂がある(笑)。
操上:それがないと何でも長続きしないですよ。やっぱり飼い慣らされちゃいけない。勅使河原蒼風さんの長女にあたる勅使河原霞さんの生け花を撮影したことがあるんです。華道家は花の周りをぐるりと回って生けるけれど、カメラという定点から見ると、要らない線がいっぱいある。それで「先生、ちょっとハサミをお借りしていいですか?」と尋ねたら、編集者が怒りまくってね。でも先生は「いいですよ」とハサミを貸してくださった。そのとき、やはり自分が厭だと思うものを撮ってはいけないなと。だって「撮影:操上和美」とクレジットが出るわけだから。
小山:なるほど。僕、操上さんのポートレートって特別に感じるのですが、撮影時に気をつけていることはありますか。
操上:まず、この人はどういう人か、何をしている人かを調べる。歌手なら歌を聴くし、作家なら本を読むし、俳優なら芝居を見にいく。そうしないと、ご本人と相対したときに、どんな言葉をかけて、どちらに導いたらよいのか、わからないから。
小山:大事なのは時間をかけた事前準備。
操上:それがあってこそ、かける言葉が決まる。被写体に寄り添いつつ、自分の思いも足していける。あとは、その人の癖を見極めること。手の動きとか、癖をちゃんと撮れないと、その人らしさが写らないんですよ。
今月の一皿
操上氏の行きつけ、東京・白金台「LIKE」の秋刀魚のコンフィ。8時間かけて煮込まれ、頭から尻尾まで骨ごと食べられる。

blank

都内某所、50人限定の会員制ビストロ「blank」。筆者にとっては「緩いジェントルマンズクラブ」のような、気が置けない仲間と集まる秘密基地。
操上和美◎1936年、北海道生まれ。23歳で上京し、1964年よりフリーの写真家に。ファッション、広告の分野を中心に、コマーシャルフィルムも数多く手がける。主な写真集に『ALTERNATES』『泳ぐ人』『陽と骨』『NORTHERN』『PORTRAIT』など。
小山薫堂◎1964年、熊本県生まれ。京都芸術大学副学長。放送作家・脚本家として『世界遺産』『料理の鉄人』『おくりびと』などを手がける。熊本県や京都市など地方創生の企画にも携わり、2025年大阪・関西万博ではテーマ事業プロデューサーを務める。


