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2026.01.27 11:00

金を超える速度で値上がりする銀 金銀比価が異例の低水準に

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ある指標で、銀(シルバー)は金(ゴールド)に並んだ。そして金を超えた。

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金1トロイオンスの価格を銀1トロイオンスの価格で割った値である金銀比価(GSR)が2012年3月以来、初めて50を下回った。簡単に言えば、これは銀が金に対して過去14年近くで最高水準で取引されていることを意味する。金は過去1年で80%以上上昇し1トロイオンス5100ドルに達した一方、銀は250%急騰し1トロイオンス110ドルとなり、いずれも史上最高値を記録している。

この動きは不安を抱えた投資家によるものだ。欧州と中東では戦争が続いている。米国と中国の貿易摩擦は再び激化している。米国の債務が増大し、物価上昇率が2%を上回り続ける中、ドルへの信頼が弱まっている。各国の首脳は、戦後の世界秩序がほころびつつあると警鐘を鳴らしている。スイス東部ダボスで先週開かれた世界経済フォーラムでは、カナダのマーク・カーニー首相が「規則に基づく国際秩序」が崩壊の危機にあると訴えた。その秩序とは、第二次世界大戦後、数十年にわたって築かれた貿易、安全保障、金融協力の枠組みを指す。それが不安定に見えると、投資家は政府や通貨以外の価値を維持すると思われる資産を求める傾向がある。

GSRが前回これほど低い水準まで低下したのは、2012年3月までさかのぼる。その期間は、米連邦準備制度理事会(FRB)の短期債を売って長期債を買う「オペレーション・ツイスト」と重なっていた。FRBは、6670億ドルの長期債を購入し短期債を売却することで、長期金利の抑制を図っていた。量的緩和の第3弾と見なされたオペレーション・ツイストは、中央銀行が従来の手段を使い果たし、金融政策の規則を書き換えているのではないかとの懸念を引き起こした。利回りの低下により、現金や債券は資金を預ける場所としての魅力が薄れた。そこで投資家は、金融緩和がドル安を招いた場合でも価値を維持できると考えられる資産に目を向けた。この期間に金と銀はともに値上がりした。

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背景から、貴金属価格が高騰している理由は容易に理解できる。だが、銀の金に対する値動きの速さに関しては、説明が難しい。

これはいかに珍しいことなのか、歴史が示している。1985年以降、GSRは平均70前後で推移しており、50を下回ったのは取引日のわずか6%程度に過ぎない。とはいえ、直ちに元の水準に戻らなければならないということではない。戦争、債務、インフレにより、資金は依然として金属へ流入している。それでも、ある数字がほとんど現れないと、投資家は気づく。そして、十分な数の投資家が気づくと、それが次に何が起こるかを左右するようになる。

では、現在のGSRの正常化とはどのような状態を指すのだろうか? 数値は2つの方向で再調整される可能性がある。金価格が5100ドル前後から大きく動かない場合、銀価格は長期平均比率である70を回復させるために約72ドルまで下落する必要がある。これは約35%の下落に相当する。一方、銀が110ドル前後にとどまる場合、金は約7700ドルまで上昇しなければならない。

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金価格が史上最高値「5100ドルを突破」、銀は8%超上昇

forbes.com 原文) 

翻訳・編集=安藤清香

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