働き方

2026.01.29 12:00

休息は報酬ではない、働き方に組み込むべき戦略だ──「忙しさ中毒」から抜け出す生産性の再定義

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何十年もの間、生産性は目に見える競技のように扱われてきた。会議やメール、ぎっしり詰まった予定表──。こうしたものが、外向きにコミットメントや成果を示すものになってきた。だがバーンアウト(燃え尽き症候群)がひどくなり、エンゲージメントが損なわれていく中で、リーダーたちは不快な問いに向き合わざるを得なくなっている。もし私たちが間違ったものを測ってきたのだとしたらどうだろうか、という問いだ。

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その問いは、『Move. Think. Rest.: Redefining Productivity & Our Relationship With Time』の著者であるナタリー・ニクソン博士との対話の核心だ。ニクソンは研究や神経科学、実際の仕事の仕方を見直すべきという切実な呼びかけを通じて、「忙しさ=価値」という深く染みついた前提に異議を唱えている。

「生産性についての従来のとらえ方は、第一次産業革命の名残だ」とニクソンは言う。「第一次産業革命に結びついた生産性の仕事モデルは、スピードや成果物、効率、目に見えるものを測ることを重視する。問題は、そうした傾向が私たちの仕事のとらえ方そのものを支配するようになったことだ。残念なことに、その過程で人間もまた機械化されてしまうことがあった」

ニクソンは、仕事に対して「どちらか一方」、つまりオンかオフか、生産的かそうでないかではなく、「どちらも」のアプローチを主張する。「もし違う問いを立てたらどうだろうか」とニクソンは言う。「今週、自分は、そして私のチームは何を育むことができるだろうか、と問いかけたらどうだろうか」

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この転換は重要だ。疲弊が広く見られる現代においては、特にそうだ。「私たちは、前代未聞のバーンアウトの時代に生きている」とニクソンは言う。「2020年には米国の労働者の推定70%が自分は燃え尽きていると報告した。バーンアウトにはコストが伴う。年間3000億ドル(約47兆5500億円)規模だ」

変化を阻む最大の障壁の1つは「忙しさ中毒」だと、ニクソンは言う。「忙しいほど生産的だという根強い誤解がある。もう1つの誤解は、休息は報酬というものだ。つまり、頑張り抜けば休めるという発想だ。だが実際には、休息は理想的には働き方の中に統合されるべきものだ」

ニクソンは、動きを止めることや心の迷走、さらには先延ばしすらも堂々と擁護する立場を取る。「実際のところ、時に意識をぼんやりさせることを私は推奨している」と言う。「心の迷走や空想がより生成的な創造的思考を刺激することが研究で示されている」

ニクソンは、洞察力を支えるものとして脳のデフォルトモードネットワーク(DMN)を挙げる。「それは、のんびり歩いているときや昼寝をしているとき、リラックスしてシャワーを浴びているときに起きる。突然ひらめきの瞬間が訪れる。偶然ではなく、たまたまでもない」

睡眠もまた効率に重要な役割を果たす。「ヒプノポンピック(眠りから覚める)状態とヒプナゴジック(入眠直前)状態というものがある」とニクソンは説明する。「科学者たちはそうした状態で問題の答えが浮かぶことが多いと言っている。これは、休息と睡眠の力と価値を肯定するもう1つの証拠だ」

職場においては、こうした生産的な静止は意図的に設計されるべきだとニクソンは考えている。「現実には、一日の中で自分を守る空間を見つける必要がある。静かになり、実際に考え事をするための空間だ」とニクソンは言う。小さな変化も重要だ。「私はスケジュールに『バッファ』という時間を入れている。そこで空想するための休憩を取る。冗談ではなく、本当に空想のための休憩だ」

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翻訳=溝口慈子

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