時計

2026.01.26 14:15

時代を超越し、歴史と物語に生きる──唯一無二のイタリアンウォッチ、パネライ

イタリア海軍特殊潜水部隊のために生まれたパネライの時計。そのデザインや機構は、すべて必要から生まれた。だから変える必要はないとパネライCEOエマニュエル・ペランは考える。

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「パネライの強みとは、"違い"と言い換えることができるでしょう。まずはイタリア発祥の時計ブランドであるということ。それはハイエンドウォッチの世界では唯一無二です。歴史もユニークです。創業者であるジョバンニ・パネライは時計師ではなく、スイス製高級時計を販売する時計店をフィレンツェに開いたビジネスマンでした。

そして最大の違いは、メインの顧客がイタリア海軍であったこと。特別な任務のための生死に関わる精密機器であり、時計のダイヤルにはブランド名もなく、名称もコード番号だけ。見た目も伝統的な時計デザインとはかけ離れていました」と語るのは、パネライCEOエマニュエル・ペラン(以下、ペラン)。

パネライは単なる時計ではなく、機能的な精密機械である。それがすべての始まりとなっているため、大型のケースも夜光塗料が明るく輝く針やインデックスも、リュウズプロテクターもすべては機能を生かすためのデザインだ。

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「通常の時計は、スモールセコンドが6時位置にありますが、パネライは9時位置にあります。実はこれも機能から生まれたデザインです。初期モデルは二針でしたが、作戦遂行の際に時計が動いていることがわかるように、秒針が欲しいと依頼されました。20世紀初頭の信頼性の高いムーブメントは懐中時計用で6時位置にスモールセコンドがありました。このムーブメントを90度回転させて腕時計に搭載したため、スモールセコンドが9時位置となった。これが現在に至るまでパネライの伝統となっています」

パネライ ルミノール マリーナ
2025年にリニューアルを果たした旗艦モデル「ルミノール マリーナ」。大きく厚みのあるケースや弱点を保護するリュウズプロテクターといった特徴はそのままに、細部や機能をブラシュアップ。特に防水性能が500mへと進化し、さらにタフな時計となったことで話題に。搭載するムーブメントは新作のキャリバーP.980。パワーリザーブは約72時間で、ストップセコンド機能も加えた。ブラックのラバーストラップとアリゲーターストラップが付属する。自動巻き、SSケース、ケース径44㎜。¥1,320,000〈パネライ/オフィチーネ パネライ tel:0120-18-7110〉

機能と美が生み出した熱狂

しかし機能だけが突出していても、現代人が時計に求めるニーズには合わない。その点、パネライはデザイン大国のイタリアで生まれた時計であり、機能のなかにも美しさがある。だから1993年に民生品が発売されると、一気に人気を獲得するようになる。

そしてその熱狂が、ファンとの深いエンゲージメントを築き、強い支持と口コミによる拡散を促すファンダムを生み出した。ひとりのファンが仲間を集め、4人からスタートしたパネライを愛するコミュニティ「パネリスティ」は、今では世界中に3万人を超える会員がいるという。

「構成する団体は60を超えていて、毎年さまざまな国でオフ会をしています。国籍も言語も異なる人々が、パネライを愛するという気持ちでつながる。そんな活動が、これだけ長い間存続しているのはうれしいことです」

日本もパネライ人気の高い国だ。ペラン氏は宝飾ブランドの担当者として約20前に日本に駐在していたこともあり、国民性や嗜し好こう性を理解している。

「日本の時計愛好家は、パネライのユニークな歴史を好んでくれますし、技術やディテールを理解し評価してくれます。例えば昨年リニューアルしたルミノール マリーナは、かなり細かい部分で進化させました。

例えばムーブメントはストップセコンドになりましたが、これは作戦前に隊員たちが秒針をそろえたハック機能に合わせたもの。また防水性能が300mから500mに変わりました。ミッションウォッチとして生まれた機能性をそのまま継承しているので、現在のライフスタイルのなかでも、いろいろなシーンで使えるでしょう。こういった小さな進化を日本の愛好家は理解し、楽しんでくれるのです」

2025年の9月10日から11月30日まで、フィレンツェ本店で開催した歴史回顧展「The Depths of Time」。過去の傑作を展示し、パネライの歴史や文化にあらためて光を当てた。このイベントは、その後ニューヨークなどでも行われた。
2025年の9月10日から11月30日まで、フィレンツェ本店で開催した歴史回顧展「The Depths of Time」。過去の傑作を展示し、パネライの歴史や文化にあらためて光を当てた。このイベントは、その後ニューヨークなどでも行われた。
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direction by Akira Shimada | text by Tetsuo Shinoda

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