変わらないことが価値となる
現在のパネライは、本社機能をスイスのジュネーブにおく。そしてムーブメントの製造や組み立て、ケーシングといった工程はヌーシャテルのマニュファクチュールが担い、特殊素材や複雑機構の研究開発部門「LABORATORIO DI IDEE」もここにある。しかしマーケティング・コミュニケーション部門やデザインチームは、ミラノに拠点がある。それはイタリアの感性を、時計に取り入れたいという気持ちが強いからだ。
しかしイタリア海軍のために生まれたというルーツを無視してまで、無理やり現代のトレンドに合わせることはない。
「近年は多くの時計ブランドがレディスウォッチやユニセックスウォッチの開発に力を入れています。マーケティング目線で考えれば、女性の高級時計市場に伸びしろがあるのは事実です。
しかし誰からも受け入れられる時計を目指すと、ブランドの賞味期限は短くなる。私の役目は、パネライの強みや特徴をもっと強化していくこと。そしてそのメッセージを広く伝えることです。パネライのDNAにないことを、やる必要はありません」
パネライの魅力は、そのユニークな歴史のなかにある。だからやるべきことを曲げてまで、時代に合わせる必要はない。混迷の時代だからこそ、その頑なな姿勢が心強く見えてくる。
エマニュエル・ペラン◎パネライCEO。1969年生まれ、フランス出身。ラグジュアリーコングロマリットであるリシュモンに入社し、ヴァンクリーフ&アーペルやカルティエでキャリアを積む。2017年からは、リシュモンの時計部門責任者となり、2025年4月より現職。高級時計を知り尽くしたプロフェッショナルである。


