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2026.02.09 10:15

誰からも感じがいいと思われる人は「自分の話」をしない

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相手に同調するのは、よいあいづちではない

傾聴の「聞き方」を実践したい場合、相手の話を「遮らない」に次いで大事なポイントがあります。

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傾聴では、主語は「あなた」です。一般的な会話の際は、主語は「私」ですが、傾聴では基本的にすべての主語を、「あなた」に置き換えます。

ですから、「(あなたが)離婚するんですね」、と、ただ事実を言葉にして返すのです。それに対して「それは大変ですね」と言う場合は、「(私が)大変だと思っている」ことになります。

例えば、こんなやり取りをしていませんか?
「あの課長、ムカつくのよね」
「そうよね、あの人ムカつくよね。(私もそう思ってた)」
こう返すのは、「〝私が〟ムカつくと思っている」ということですね。つまり自分の話をしていることになります。
こういった〝同調〟する返しをすることが、「よいあいづちをはさんでいて会話を盛り上げる聞き上手のコツ」と思っている人もいるかもしれませんが、この返しは主語をすり替えている=話を相手から取っていることになります。

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決して聞き上手の人のあいづちではありません。

人間はどうしても自分の話をしたい生き物なので、主語をすり替えがちになりますが、傾聴を実践する場合は〝相手が主語〟で進めるのが基本なのです。

自分の意見ではなく「〝あなたが〟そうしたんですね」「〝あなたが〟こう感じたんだね」と言葉を返すことが、本当の聞き上手と言えるのです。

「昨日夫と喧嘩しちゃって……」
「そうですか、喧嘩されたんですね」
「会社で嫌な上司がいるんです」
「そうなんですね」
こんなふうに、自分の感想や意見は入れずに、「●●なんですね」「はい」「そうなんですね」という程度のフレーズで応答する。これが傾聴の聞き方です。

ただし、こう伝えると、こんな話し方をする人がいます。
「あの書類はどこにありますか?」
「あの書類がどこにあるのか知りたいんですね」
「トイレの場所を教えてください」
「トイレの場所が知りたいんですねー」

笑ってしまうようなやり取りですが、傾聴を実践して訓練している最中には、〝相手の言った言葉をリピートすること〟に気を取られているため、本当にこんなやり取りが起こってしまう時もあるのです。

場所などの〝事実〟を聞かれた時は、このような答え方に注意です。「書類はどこにあるんでしょうねえ」などと返さず、知っていれば教えてあげてください。

このように、事実確認のやり取りの場合は、相手の気持ちに寄り添うことで、相手をおちょくっているようにもとらえかねません。既存の事実を明確に伝えて差し上げることが誠実に関わるということであり、感じがよくなります。

また、終始、相手の言った言葉を繰り返す、という傾聴をしていたらどうなるでしょう。ご想像通り、当然日常会話は進んでいきません。

ですから、すべての会話をそうしなければいけないというわけではありません。

ただやはり、会話を通じて〝感じがいい人〟という印象を与えたいなら、第一声、最初のやり取りは、傾聴を心がけましょう。

そうすることによって、相手も「あ、この人はきちんと話を聞いてくれる」と安心し、より話しやすくなるからです。

さらに自分の話をしっかり聞いてもらうと、その人はこちらの話も聞いてくれるようになります。するとどちらも話をしやすくなるという、好循環が起きます。

相手がより本心や核心を話しやすくなるので、話の結論も早く見えて会話がスムーズに進むのです。

相手の話がいったん終わり、「どうしたらいいと思う?」「あなただったらどうする?」などと聞かれた時に、初めて自分の意見や感想を伝えればよいのです。

この〝主語を「あなた」〟で話すことができる人が、本当の聞き上手なのです。

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文=大野萌子

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