「離婚するんです」と言われて「それは大変ですね」と返してはいけない
「話し上手は聞き上手」という言葉がありますね。「本当の話し上手というのは、人の話を聞くことも上手な人だ」という意味あいです。
感じがいい人とは、本当の意味でこの言葉通りの会話ができる人です。
ではみなさん、この「聞き上手」って、どんな聞き方だと思いますか?
「積極的にあいづちを打って、相手の言葉をどんどん引き出す人」というようなイメージを持っていると、意図せずに感じが悪い人になるかもしれません。
「聞き上手」というのは、〝傾聴〟ともいわれる聞き方ができる人です。
それは「自分の価値観を前に出さず、ニュートラルに聞く」こと。
これは、主にカウンセリングの場で行われる聞き方で、私たちカウンセラーも学ぶような方法です。
「そんなの簡単じゃない?」と思われるかもしれませんが、実は意識して練習しないと、なかなかできないことなのです。
例えば、
「私、離婚するんです」
と相手が言った時。あなたならなんと返しますか? おそらく一瞬無言になるか「それは大変ですね」といった、ねぎらいや慰めの言葉をかけるのではないでしょうか。
ですが、傾聴の聞き方では「離婚するんですね」と、相手が言ったことを繰り返すのが基本です。
「どうしたの?」「大変ね」など、自分の感想や意見は付けません。それが、「ニュートラルに聞く」という意味なのです。
なぜなら私たちは、話を聞いた時に、どうしても自分の育ってきた環境・経験・知識などのフィルターを通して考えてしまうため、知らず知らずのうちに、発言に自分の思い込みや想像が入り込んでくるのです。
離婚することが不幸なことかどうかは、聞いた時点ではわかりません。もちろん、大変なこともあると思いますが、長年のストレスから解放され、スッキリしているかもしれません。
ですから、自分の側の感想は伝えず、相手の言った言葉を返すのが基本なのです。
「自分の感想は伝えないって、それだけじゃ会話が続かないよ」と思われるかもしれませんね。例えば「離婚されるんですね」のように、感情を押し付けずに相手が語りやすいような語尾を添えると、相手は自然に心境や背景を話し始めます。
ちなみにこれは、カウンセリングの場での考え方なので、とても親しい間柄の相手との会話で事情を知っているうえでの気持ちを言ってはいけない、ということではありません。
ただ、どのような相手に対しても、最初の一言は、自分の気持ちではなく、相手が伝えてきたことを受け止める傾聴を心がけるほうが、感じがよくなります。そのうえで、自分の気持ちを伝えるぶんには構いません。


