国内

2026.02.02 13:30

独自加熱技術で「持ち運べる製鉄所」実現へ

太田明日美|D4V(写真左)・西岡和彦|SUN METALON(同右)

西岡:最初は金属3Dプリントにかかる高いコストを一気に下げられるものをつくろうと取り組んでいたのですが、その適用先のひとつとして、生産工程で生じた切削くずを高純度の金属スクラップとして再利用できるものをつくってほしいという声が多かったんです。この金属リサイクルだけで市場規模は数十兆円。方向性は修正しましたが、実際は我々が使うコア技術もつくる装置もほとんど変わっていません。

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現在の事業は、リサイクルした高純度な金属ブリケットの提供と、その装置の販売のふたつ。すでに装置は完成して納入実績もあり、これからが拡販期です。出資いただいている日本製鉄をはじめ世界のトップ企業とお付き合いさせてもらっていて、どんどん引き合いが増えています。

太田:足元のチャンスをしっかりとつかみながら、最終的なビジョンに向けてビジネスを積み上げているので、安心して見ていられますね。

西岡:エキサイティングなフェーズに入り始めた感触があります。切削くずは金属を扱うあらゆる工場で生じますが、価値は低くて、0円に近い値段で取引されたり、お金を払って埋め立て処理されたりしているのが現状。一方で、脱炭素の観点から金属業界では、原石から鉄をつくる高炉を抑えて、鉄くずから鉄をつくる電炉への移行が進んでおり、今後、高品質な金属スクラップの需要が逼迫することは明白です。私は将来的に製鉄所を3つの箱に押し込めたいんです。原石から鉄をつくる金属製造と、出来上がった金属から形をつくる3Dプリント、そして金属のリサイクル。この3つがあれば、バリューチェーン上の必要な処理はすべて行える。まずはリサイクルにフォーカスしていますが、実は金属製造も3Dプリントも少しずつ装置の開発を進めています。3つが揃えば、金属産業が持ち運び可能となり、金属資源がその場で活用され続ける究極の循環型社会が実現できるはずです。

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太田:金属リサイクルは地味なビジネスに思われがちですが、社会に対するインパクトはすごく大きい。どんどん消費されている世界の金属資源を、CO2排出量を削減しながら地産地消で活用していける。その世界を早く見たいですね。


おおた・あすみ◎野村証券、Man Group、Orbis Investmentを経て、IDEOにて国内外企業の新規事業開発を担当。D4V参画後はシードからアーリー期のスタートアップ投資および経営支援に従事。トロント大学商学部卒、コロンビア大学MBA修了。(写真左)

にしおか・かずひこ◎東京大学大学院機械工学科を修了後、日本製鉄にて、エンジニアとして11年間勤務(生産技術、加熱炉開発)。新原理に基づく金属加熱技術を着想し、キャンプ場等でのプライベート検証実験を経て、2021年にSUN METALON創業。(同右)

文=眞鍋 武 写真=平岩 享

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