現在発売中のForbes JAPAN1月23日発売号の第2特集は、「新たな豊かさ」を生み出し、持続可能な経済成長の新主役とも言える「インパクト・エコノミー」をテーマにした「IMPACT THE NEW CHAPTER Vo.2」。今回、フォーカスするのは、社会課題の解決を成長のエンジンととらえ、持続可能な社会の実現を目指す「インパクトスタートアップ」だ。インパクトスタートアップの「1年間の経営におけるチャレンジ」を表彰する「インパクト・チャレンジ・オブ・イヤー」という新企画を中心に、金融・資本市場、大企業、スタートアップ、官、地域で拡張し、「新章」を歩みはじめた日本のインパクト・エコノミーの新潮流を読み解いていく。
「インパクトチャレンジ・オブ・ザ・イヤー2025」に輝いた一社であるLuup。「ミッションの実現」へ向けた大きな一歩となる、新たな挑戦の背景にある思いとは。
2024年3月、場所は愛知県、トヨタグループのアイシン本社。
「どこでもドアを一個見て、『実現できている! 量産したい!』と思ったみたいな感じですね」
マイクロモビリティシェアリングサービス「LUUP」を運営するLuup代表取締役CEOの岡井大輝がそう回想するのは、25年8月に発表した三輪・座り乗りの新型ユニバーサルモビリティ「Unimo(ユニモ)」開発の始まりだ。そして、ハードウェア開発というディープテック企業へと変貌を遂げる意思決定をした瞬間でもある。岡井と同社共同創業者・取締役COOの牧田涼太郎、同社ハードウェア責任者の3人が、広大な敷地のなかで、骨組みしかない状態のUnimoに乗ったところから始まった。
「数年前から技術パートナーであるアイシンさんと話を始め、一台つくってみようと製作したプロトタイプ。とはいえ、中速帯のスピードが出てる三輪、四輪の小型モビリティは、カーブで姿勢を安定させることが難しかったため、存在しないと当時は思っていました。ただ、実際にプロトタイプに乗ってみると、運転者の姿勢が自動アシストされ、快適、かつ、安全で『ここにあるじゃないか』とその新たな技術に驚きました。名古屋駅までの帰りの電車内で3人で『実現できているのであれば、うちがやるしかないね』『今すぐは無理だけど、規模が大きくなれば量産できる』と盛り上がったことを今でも覚えています」(岡井)
その後、Luupは、アイシン、GKデザイングループのGKダイナミックスをデザインパートナーに3社でUnimoを共同開発。「車両デザインだけでも何十パターンもの案を出して進化させながら」、特定小型原付(歩道は時速6km、車道は時速20kmで通行可能)規格のモビリティを開発。車速とハンドル角に応じて車体の傾斜角を自動制御する「リーンアシスト制御」で、コーナリング時に車体傾斜の引き起こしをアシストし、倒れずに走行を続けられる。かつ、身体的負担が少なく、16歳以上であれば、世代や性別を問わず誰でも利用できる、世界初のユニバーサル小型モビリティだ。25年には大阪・関西万博でのお披露目とともに、複数の試乗会を実施。26年には複数地域での実証実験を行い、その後の本格導入というロードマップを描いている。
「僕らのミッションは『街じゅうを「駅前化」するインフラをつくる』。そして、創業時から「すべての人々の移動課題の解決」を掲げてきました。だからこそ、高齢化が進む日本から、まだ世界で誰も実現できていないユニバーサルカーの社会実装に挑戦したいと思っています」



