米国では今年に入り、ありえないような出来事・戦略・命令・措置の数々が次から次へと驚くべき規模で展開されている。いったい全体、これほどの混乱と危険を生み出し続けられるような創造力が人間のどこにあるのだろうか。
創造性の基礎は、まったく異なる概念を新しい方法で組み合わせることにあると研究者たちは言う。そして、まさにその創造性が発揮された結果、米国と米納税者は今、関税とグリーンランド問題の融合という状況に直面しているのである。
「きちんとやりたい」トランプと、NATOの集団的自衛権
ドナルド・トランプ米大統領は、デンマーク自治領グリーンランドの領有をめざす意欲を鮮明にした。米ベテランジャーナリストのジェームズ・ファローズは『グリーンランド入門』と題した記事で、米紙ニューヨーク・タイムズに先ごろ掲載されたトランプのインタビューを取り上げ、次の点に着目している。
1951年に米国とデンマークとの間で締結された防衛協定で認められているグリーンランド駐留米軍の増強をなぜ行わないのかとの質問に対して、トランプは「きちんとやりたいからだ」と答え、「きちんとやる」とは所有権を持つことを意味すると述べた。──米軍が駐留している他の国々についてはどうなのか、ふと考えたくなる言葉である。
ただ、インタビューの全文に目を通しても、なぜトランプがグリーンランドの領有を「成功に必要なもの」として重要視するのか、また、それが何を意味するのかは、まるで分からない。しかし、より客観的に見れば、この話には地政学的問題が大いに絡んでいる。
グリーンランドを領有するデンマークが北大西洋条約機構(NATO)の加盟国である以上、米国はNATO全加盟国と対立せざるを得なくなるのだ。NATO創設の根幹をなす北大西洋条約の「最も基本的な原則」は、集団的自衛権について規定した第5条であり、そこには「加盟国が武力攻撃を受けた場合、全加盟国に対する攻撃とみなす」と記されている。



