「トランプ流」は納税者に負担を強いる
トランプがニューヨーク・タイムズに対して認めた自身の心理的快適性のために、グリーンランドを「所有」する基本的な方法は3つある。米国が購入するか、軍事力で奪取するか、デンマークとNATO全加盟国を説得して譲歩させるかだ。
デンマークとグリーンランド自治政府が友好的な売却に同意する可能性は皆無に等しいが、仮に合意した場合、米国が支払う購入代金は莫大なものとなろう。その資金は借入に頼ることとなり、つまりは納税者の負担となる。
トランプが軍事行動を起こせば、これもまた財政支出となるだけでなく、死傷者が出るという悲惨な可能性があり、それを負担するのは軍務に就いている納税者である。
説得に関しては、トランプはすでに方針を示している。追加関税だ。トランプは2月1日からデンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フランス、ドイツ、オランダ、フィンランド、英国の計8カ国からの対米輸出品に10%の追加関税を課すと宣言した。この関税は6月1日から25%に引き上げられ、米国によるグリーンランド買収の合意が成立するまで支払い義務が生じるとしている。
しかし、米国が課す関税とは、米国内で消費される輸入品に対する課税であり、その負担は結局のところ、米国の納税者と事業者に転嫁される。
さらに、米国の通商政策をめぐる不確実性が高まることで、世界中の金融市場に不安が広がる。住宅ローン金利をはじめ各種金利を左右する主要金融指標である米国債10年物利回りは、トランプの「グリーンランド関税」発表を受けて急騰した。これは大きな動きだ。
この一連の騒動はきっとすばらしい本の題材になるに違いない。書名はさしずめ『和平交渉の極意』とでもなろうか。それは遠からず書店に並び、その内容の影響は納税通知書となって米国民の元に届くだろう。


