長期的な安定性に対する疑念が数週間にわたり蓄積していた7兆6000億ドル(約1200兆円)規模の日本国債市場は、米国時間1月20日、予想外の大規模な売りに見舞われた。日本のインフレが債券利回りを押し下げかねないとの懸念が強まっている。
数十年続いた「ほぼゼロインフレ」の時代を経て、日本はいま、顕著なインフレ圧力に直面している。表面利率の低い長期国債は魅力を失い、投資家は割安での売却を迫られ、その結果として国債利回りが上昇(価格は下落)している。
長期金利の指標となる国債利回りが上昇すると、借り入れコストは高くなる。住宅ローン金利や企業向け融資の金利、さらには株式や不動産の評価に用いられる割引率が押し上げられ、市場に対する信認の低下を示すシグナルとなる。
この日、30年物および40年物の日本国債の利回りは25ベーシスポイントを超えて上昇し、ドナルド・トランプ大統領の「解放の日(リベレーション・デー)」関税が世界市場を揺るがした2025年以来、最大の上昇幅を記録した。
日本の40年物国債利回りは、2007年の導入以来、初めて4%を上回った。
これに先立つ20日早朝には、20年物国債の入札で十分な需要が集まらず、信認不足を露呈する警告サインとなった。
今回の日本市場の混乱は、日本銀行とその金利統制能力への信頼によって支えられてきた、数十年におよぶ安定感が急激に揺らいでいることを示している。
政府系データ集約機関のトレーディング・エコノミクスによると、日本の年間インフレ率は現在約3%であり、日本銀行が掲げる目標の2%を長年にわたり一貫して上回ってきた。背景には、輸入コストとエネルギー価格の上昇があり、円安によって輸入品価格が押し上げられていることに加え、食品や公共料金の値上がりも影響している。
日本の国債市場の混乱は、米国を含む多額の債務を抱える他国にとっての警告でもある。日本国債の利回り上昇は、投資家が米国債の購入を敬遠する要因にもなり、米国の金利を押し上げる可能性があるからだ。アナリストは、日本国債の売りが足元で米国債利回りの上昇につながっていると指摘しており、主要な債務市場の1つに生じたストレスが世界的な借り入れコストを押し上げ得ることを示している。
世界的なマクロ経済データベースであるCEICによると、2025年後半時点の日本の政府債務(対GDP比)は約203%である。これに対し、世界銀行による米国の同指標は118.1%となっている。
片山さつき財務相は、20日に開催されたダボス会議の場で、ブルームバーグに対し、「市場の皆さんには落ち着いてほしい」と語った。
日本の国債利回りは、高市早苗首相が11月に約21兆3000億円の経済対策を発表して以降、上昇を続けている。19日、高市首相は食品にかかる8%の消費税を2年間停止する計画を改めて表明し、「大きな政策転換」と位置付ける施策について国民の信任を得るため、2月8日に選挙を実施すべく衆議院を解散すると述べた。
利回りが上昇する中、高市首相は支出拡大と減税の計画が日本の財政を損なわないと、有権者と金融市場の双方を安心させようとしている。19日には、2025年に200%を超え、世界でも有数の債務大国となった日本の政府債務残高(対GDP比)を引き下げると公約した。



