ファンベルによると、ミラ型星は1年という周期の中で、肉眼で見える最も明るい星から、肉眼で見えるかもしれない最も暗い星に変わる可能性がある。
ミラ型星の分類全体を代表する変光星として、くじら座オミクロン星のミラは過去400年にわたって観測が続けられてきたという。これは天文学におけるこれまでの研究対象の大半に比べてはるかに長期にわたっており、これらの天体が長い期間にわたってどのように振る舞うかを知る機会が得られると、ファンベルは指摘した。
ミラ型星が変光と周期的な脈動を起こす原因は何だろうか。
脈動の正確なメカニズムについてはまだ十分に解明されていないが、脈動の説明の1つにカッパ機構(カッパは恒星物質の不透明度[吸収係数]を表すギリシャ文字)がある。
カッパ機構は星の物質の電離によって働くと、ファンベルは説明している。電離は、原子が電子を得たり失ったりして電荷を帯びた状態になるプロセスだ。ミラ型星の場合、電離するのは水素原子か塵(固体微粒子)の分子の可能性があるとの仮説が提唱されているという。
いかなる場合でも、この機構によって電子が解放されると、ファンベルは続ける。電子は星内部からの放射エネルギーを効果的に吸収するため、星は膨張し、温度が下がる。温度が下がることで、電子が再結合し、放射エネルギーの吸収が止まるため、星はサイズが収縮する。こうして、観測される脈動が起きるのだという。
この脈動のメカニズムがどのようなものであれ、全体としての周期性を発生させていると、ファンベルはいう。
職業的な天文学者にとっては、ミラ型星の観測は天文学の大聖堂建設のように何代にもわたる長期プロジェクトになる。
ミラ型星は、悪夢のように困難な研究対象だ。なぜならその物理過程が不可解だからだと、ファンベルは話す。ミラ型星の変光周期は約1年なので、変光星を10周期にわたって観測したい場合、研究助成金申請書の大半の時間枠を大幅に超過してしまう。


