経済・社会

2026.01.24 14:15

ハワイのDFS全店舗が閉店へ ハワイ観光業界の現在地

Eric Akashi - stock.adobe.com

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海外旅行の醍醐味のひとつ、免税ショッピング。その象徴とも言えるDFSが、ハワイ市場から撤退する。特にワイキキにあるDFSは日本をはじめ海外からハワイを訪れる人々でにぎわってきた、ハワイ観光の中心的な存在であった。ハワイ1号店オープンから63年の歴史を刻んできたDFSの閉店は、現在のハワイ観光業の実態を如実に物語っている。

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DFS閉鎖が示す、「ハワイの観光業復活」の実態

世界のリゾート地で店舗を展開してきたDFS。その中でも大きな市場とみられるハワイからの撤退は、おそらく大きな決断であったに違いない。そしてその背景には、日本人をはじめとした海外からハワイを訪れる観光客の大幅な減少と、観光客が滞在中に消費する金額の減少であると考えられる。

ハワイ州観光局発表のデータによると、コロナ前の2019年のハワイ訪問者数は1042万人。コロナ禍の2020年は271万人まで激減したが、2021年は678万人、2022年は925万人まで回復。近年は、コロナ前の水準の9割前後で推移しており、ハワイの観光業は完全に復活しているかに見える。

だが、訪問者の内訳や実態を見ると、そうとも言い切れない。例えば、コロナ前の2019年11月のハワイ訪問者数は約81.1万人。そのうち、米国本土からの訪問者数は約53.6万人で、全体の65%を占めていた。そして米国本土の次に多いのが、日本からの訪問者で全体の約16%にあたる12.7万人。そのほか、カナダの6%など、海外からの訪問者は全体の33%を占めていた。

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しかし、最新の2025年11月のデータを同様に見てみると、ハワイ全体の訪問者数は73.7万人とコロナ前の91%であるが、そのうち78%を米国本土が占めている。日本からの訪問者数は5.8万人と、全体の8%にしかならない。カナダなどの他国からの訪問者も依然として少なく、海外からの訪問者は全体の21%にしか達していないのが現状だ。

米国人にとって、ハワイは同じ米国でありながらも、非日常を楽しめるリゾート地。旅行に行けなかったコロナ禍からの反動もあり、ハワイは多くの米国人にとって魅力的な地に映ったのだろう。それまでは、日本、中国などのアジアをはじめ、ヨーロッパからも多くの人々が訪れていたが、アフターコロナでは米国からの訪問者が一気に増加したことが、データからも読み取れる。

そして日本人にとって、ハワイ行きを躊躇するようになった理由のひとつが、現地の物価高と円安である。その証拠に、ハワイ訪問者の1人1日あたりの消費額が、米国本土からの訪問者については2019年11月が191.3ドルに対して、2025年11月は276.4ドルと44%も増加しているのに、日本からの訪問者は2019年11月の253.4ドルから、2025年11月の247.6ドルにわずかに減少しているのだ。

コロナ後は円安が進んでいることから、日本円で考えれば実質的な消費額は増えているはずだが、ハワイの現地で日本人が使う金額はコロナ前よりも少ないという皮肉な現象が生まれていることがうかがえる。

ホテル代、食事代、ツアー代金など、あらゆる価格がコロナ前より上がっているにも関わらず、日本人訪問者の消費額が減少しているということは、日本からハワイを訪れた人は、例えば滞在するホテルのグレードを下げたり、外食の回数を減らしたり、観光ツアーに頼らず自分で観光地を巡ったり、「お金をかけないハワイ旅行」を模索しているのではないだろうか。ショッピングに対して財布の紐が締まるのも当然の流れだ。

ハワイを訪れる海外からの訪問者数ナンバーワンの日本人が、ショッピングへの消費をしぶるようになったこと。おまけに、免税とは関係のない米国人旅行者がハワイ訪問者の8割近くを占めるようになったことは、DFSにとって大きな痛手になったに違いない。

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文=佐藤まきこ

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