コロナ禍の閉鎖・店舗縮小…DFSワイキキでの苦戦の軌跡
だが、DFSもハワイという大きな市場を簡単にあきらめた訳ではないだろう。ここで、開店からの歴史を簡単に振り返る。
DFSがハワイ1号店をホノルル空港にオープンしたのは、1962年のことだ。1975年にはワイキキにも店舗をオープン。ワイキキのメインストリートに面する一等地につくられた建物は、ワイキキのランドマークとして愛されてきた。日本からのツアー旅行者の多くが滞在中に何度も利用するトロリーの主要な停留所にもなり、さらに観光ツアーの集合場所などにも使われ、まさにハワイ旅行の起点となるスポットだった。
2012年にはハワイのDFS 50周年を記念する華やかなイベントを開催し、2013年には「T Galleria by DFS」に店名を変更。ハワイでのビジネスは好調に推移していたものとみられる。
だが、新型コロナウイルス感染症の蔓延によって、ハワイの多くのビジネスが苦境に追い込まれるのと同様に、DFSは一気に苦難の道へ突入した。2020年に店舗を一時休業すると、その期間はおよそ3年も続いた。そして、2023年3月に、店舗面積を縮小して待望のリオープンを果たしたところだった。
コロナ前には従業員165人を解雇するなど、観光業の情勢にあわせて対応を重ねてきたが、結局アフターコロナの営業再開から3年弱で、市場撤退という苦渋の決断に至ったようだ。
グアムにあるDFSも2026年3月末をもって閉店することが2025年に発表されており、同様の経緯があると推測される。
2026年のハワイの観光業界はどうなる?
そうなると、気になるのが今後のハワイ観光業の行方だ。ハワイ州経済開発環境局によると、2026年のハワイ訪問者数は前年比0.7%増の976万人と予測。米国本土からの訪問者数は全体の8割弱と、依然として高いままとみられる。
衆議院の解散を検討しているという高市総理大臣の姿勢を受けて、1ドル159円台まで円安が進んだほか、2026年からはハワイの宿泊税が増加するなど、日本人のハワイ訪問者数を増加させる明るい要素は現段階では見当たらない。
だが、ハワイ州政府では日本からの訪問者数について、2.6%増の74万人と予測。実際、2025年から2026年の年末年始は、日本航空と全日本空輸ともに、ハワイ線の旅客数が前年同期比で10%以上を上回ったという。
コロナの前後で、ハワイ州観光局の日本に対するマーケティングは、家族旅行などの大量誘客型から、リピーターや富裕層向けなどのターゲティング型へシフトしてきたとみられる。その方向性は2026年も変わらず、日本人訪問者のコアな層となってきた「ハワイ好きのリピーター」へアプローチしていくものと考えられる。
日本人にとって、身近な海外旅行先であったハワイ。しかし今ではそのイメージが薄れ、経済的にゆとりのある人や、ウェディングのような特別なひと時に選ばれる旅行先になってきているようだ。そして、日本人が多く集まり日本語が飛び交っていたDFSなどの現地のスポットはますます減り、「米国人のリゾート」に姿を変えていくのかもしれない。


