テクノロジー

2026.01.19 13:15

CES 2026 アワード審査員が伝える産業AI革命時代の日本企業の存在の示し方

毎年恒例の行事が終わった。ラスベガスで開催されたCES 2026への参加だ。昨年からエヌビディアを中心に、AIテックジャイアントがどのようなメッセージを打ち出し、我々にどんな影響を与えうるのかをリサーチする場になっている。14年連続でCESを現地取材し、2年連続イノベーションアワード審査員を務める筆者の視点から、今年、現地で肌身に感じたのは「産業AI革命(Industrial AI Revolution)」の圧倒的な加速である。本稿では、この革命を軸にCES 2026の要点を整理しつつ、日本企業が勝機を掴むための具体策を提示したい。

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まずは数字が物語る熱狂から。会期は2026年1月6日〜9日までの4日間、参加者はパンデミック以降最大規模となる14万8000人超。出展社も4100社を数えた。特筆すべきはメディア環境の変化だ。登録メディア数は約6900と、昨年を上回る規模へ。独立系クリエイターの参画により、大手メディアにはないニッチな視点が世界へ同時多発的に発信される。テクノロジーの「今」が多角的に検証される、極めて健全なエコシステムと言えよう。

シーメンスとエヌビディアが示した「産業AI革命」の衝撃

私はメディア向けの1月4日から参加し、4100社がひしめく展示会場(LVCC、ベネチアン、C-Space、CES Foundry)を回り、10社のプレスカンファレンスおよび基調講演を追った。その中で特に印象に残った言葉が「産業AI革命(Industrial AI Revolution)」だ。これはシーメンスがCES 2026基調講演で打ち出したキーワードである。

昨年までの同社は「産業AI」という技術要素の提示に留まっていたが、今年はそれを「産業AI革命」という一段上の概念へと昇華させた。ローランド・ブッシュCEOは、「AIは蒸気機関や電力、コンピュータよりも速いスピードで業界を変革する」と断言。AI時代の旗手ジェンスン・ファン氏をステージに迎え、産業AI向けOS構想という強烈なタッグを披露した。

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この「産業AI革命」を底流で支えているのは、昨年エヌビディアが提唱した「フィジカルAI」という概念に他ならない。フィジカルAIとは、AIが画面の中を飛び出し、ロボットや自動運転車、工場機器といった「肉体(身体)」を持つシステムに実装され、現実世界を直接動かす技術を指す。そして産業AI革命とは、このフィジカルAIを製造業やインフラといった産業領域へ本格的に適用する、大きな構造変化を意味している。

CES 2026の会場では、少なくとも主要なグローバル企業(シーメンス、レノボ、ヒュンダイ、富士通、日立など)が、表現の違いはあれど、フィジカルAI=実世界に出ていくAI、を前提に展示やメッセージを組み立てていることが確認できた。

IoTを中心に、これまでもCESからは産業向けのキーワードが飛び出してきた。メタバースやデジタルヒューマンなどのキーワードも存在した。ただし、いずれの言葉もキーワードが出てから適用までに時間を要したり、いつの間にか熱が引いていった面もある。ところがフィジカルAIに関しては、たった一年で、しかも大手グローバル企業が適用前提へ一斉に舵を切り始めた。エヌビディアのCES 2026基調講演(NVIDIA Live at CES 2026)でジェンスン・ファン代表が「物理世界(フィジカルワールド)におけるAIのChatGPT的瞬間が到来した」と宣言したことは象徴的だった。

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文=西村真里子

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