テクノロジー

2026.01.19 13:15

CES 2026 アワード審査員が伝える産業AI革命時代の日本企業の存在の示し方

CESで世界に届けるために日本企業がとるべき3つのアクション

さて、ここまで読んでくださった読者の方は、産業AI革命時代に日本企業が提供し得る技術や考え方に手応えを感じた方も多いだろう。ただ私が残念に思うのは、海外メディアが大々的に「産業AI時代の旗手は日本の◯◯である!」と取り上げてくれにくい現状だ。

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一方で、CESを戦略的に活用し、存在感を示している日本企業もある。その一つがAGCだ。AGCはイノベーションアワード2年連続受賞を重ね、CESの中でも確実に認知を広げている。広報の宮川氏に価値を伺うと「新年の最初に、世界中の取材者が次に来るものを探している場で、効率よく自社ソリューションを届けられる」点が大きいという。では、AGCのような成功を再現するために、他の日本企業は何をすべきか。

まず、CESを活用してグローバルマーケットに幅広く自社ソリューションを紹介したい企業はぜひイノベーションアワードに応募してほしい。審査員として2年連続で応募作品を評価してきた立場から言えば、受賞のカギは「自社の技術が、産業AI時代にどの課題を解く存在なのか」を簡潔かつ明確な英語で示せるかどうかだ。2年連続2名がイノベーションアワード審査員を務める弊社HEART CATCHとしても、この点を強く感じている。

残念なことに、今年は452の受賞プロダクトがある一方で、日本企業からの受賞は7プロダクト(7社)に留まった。対照的に、韓国企業は452受賞プロダクトの約6割を占め、最高賞であるベスト・オブ・イノベーションアワードでも半数を獲得するなど、圧倒的な存在感を示している。私は、日本企業にも産業AI革命時代のイノベーションがあると信じている。応募と受賞は、その存在を最短距離で可視化する。

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次に、プレス向けの日程で行われるUnveiled(プレス向け発表の場)への出展だ。受賞企業であれば条件面で有利になり、受賞でない場合でも一定の費用で出展できる(広告換算すれば割安だろう)。Unveiledは、約6900のメディア枠参加者が「今年はどの技術が世界を変えるのか」を探しに集まる場所であり、ここでひとことで刺さるメッセージを届けられるかが大きい。ぜひこの場を活用して、世界向けに存在を示してほしい。

さらに踏み込むなら、メディアカンファレンス(Media Briefing等)の枠を取り、メディア向けに自社発表を行うことだ。実務的には、CTAが案内するPR Opportunitiesの手続きに沿って、支払い、CTA側スケジュールへの掲載、会場(会議室・AV等)の手配、告知と取材誘導までをセットで進めるのが最短ルートになる。枠数には限りがあり先着で処理されるため、CES 2027(ラスベガス)で露出を狙うなら、早期に申請し、日程・部屋サイズ・技術要件(撮影/配信有無)を固めていくのが現実的だ。


フィジカルな世界に強みを持つ日本企業にとって、この「産業AI革命」は、デジタル領域で出遅れた過去20年を巻き返す最大の機会だ。画面の中の最適化を競うフェーズは終わり、AIは今、我々の生きる物理空間へと解き放たれた。審査員として数多のイノベーションに触れた筆者が確信するのは、技術の優劣以上に「どの領域でAIに肉体(ボディ)を与えるか」という構想力の重要性だ。2027年、このラスベガスの地で、世界の中心として喝采を浴びる日本企業の姿を期待してやまない。

文=西村真里子

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