しかし、先に挙げた2025年の『Ecology and Evolution』誌に発表された研究によると、ペルーとフィリピン奥地の熱帯雨林において、研究チームは、単なる装飾よりはるかに精巧なものを発見した。ゴミグモの複数の個体が、シンプルな「ゴミリボン」を構築する代わりに、クモの糸を使って、遠目から見るとクモの姿に見える装飾的な構造物を作成している様子が観察されたのだ。
こうした構造物が一貫して観察されたため、研究者らはついに、それまで単なる事例証拠に過ぎなかった事象を論文で報告することができた。つまり、これは1回限りの奇妙な現象ではなく、生態学的に意義のある行動だということだ。
研究者らは現地調査において、6匹のゴミグモ属の個体が、細心の注意を払ってこうした構造物を構築するのを観察した。こうしたおとりの構造物は、巣の中心に配置されることもあれば、わずかに中心からずらされることもあった。細かな配置に違いはあるものの、いずれもゴミグモがすでに巣に使用している素材、すなわち、クモの糸、昆虫の死骸の一部、葉、その他の残骸で組み立てられていた。
鳥、トカゲ、大型昆虫など、熱帯の捕食者が森林の下層を見渡すときに、恐ろしいクモのシルエットが見えたら、それは脅威の存在を示唆する。
ゴミグモが、「自分の偽物」を構築して利用する方法
これらのおとり構造物は、学術的には「隠れ帯(円網につけられるクモの糸の装飾:「白帯」や「スタビリメンタム」とも呼ぶ)」の一形態とされる。しかし上記の研究が指摘するように、ゴミグモがつくる構造物は、無秩序なクモの糸とゴミの塊が、たまたまクモの姿に似ている、というものではない。得られた証拠から、ゴミグモが意図的に素材を配置して、目を引くシルエットを形成している可能性が考えられている。
作成されたおとりは、不気味なほどにクモに似ている。各構造には一貫して、クモの頭胸部と腹部に似た塊が中心部にあり、その周囲を常に、8本の「肢」のように放射状に並んだ素材が囲んでいる。研究者らは、クモが自身の10倍の大きさのおとりを作成する場合もあると指摘している。
なぜ小さなクモが、それほどの労力をかけてこうした構造物を作るのか、疑問に思う人も多いだろう。研究によると、主に捕食者が周囲の環境をどのように認識するかに基づいて、いくつかの説明が試みられている。


