宇宙

2026.01.17 14:15

さらば彗星3I/ATLAS━━希少な恒星間訪問者、再び深宇宙へ

NASA, ESA, STScI, D. Jewitt (UCLA), M.-T. Hui (Shanghai Astronomical Observatory). Image Processing: J. DePasquale (STScI)

NASA, ESA, STScI, D. Jewitt (UCLA), M.-T. Hui (Shanghai Astronomical Observatory). Image Processing: J. DePasquale (STScI)

地球は、観測史上でも極めて珍しい宇宙からの訪問者に別れを告げた。恒星間彗星「3I/ATLAS」は、12月19日に地球へ最接近した後、太陽系の外へ向かう長い旅に戻っていった。Space.comによると、この短い接近期間は、私たちの太陽系の外、はるか遠くで形成された物質を調べる貴重な機会となった。

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最接近時、3I/ATLASは地球から約1億6800万マイル(約2億7000万キロ)の距離を通過した。この距離は地球に危険を及ぼすものではないが、地上望遠鏡や宇宙望遠鏡が詳細な観測データを集めるには十分に近かった。現在、この彗星は太陽系を離脱し、再び銀河系をさまよう孤独な旅へと向かっている。

3I/ATLASが特別視される最大の理由は、その出自にある。この天体は、太陽系を通過したことが確認された「3例目の恒星間天体」だ。最初は2017年に発見された正体不明の天体「1I/オウムアムア」、次が2019年の「2I/ボリソフ彗星」である。

通常の彗星が太陽と惑星とともに太陽系内で誕生したのに対し、恒星間天体は別の恒星の周囲で生まれ、その後、宇宙空間へ弾き出された存在だ。

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この彗星は3I/ATLASは、2025年7月1日、小惑星地球衝突最終警報システム(ATLAS)によって初めて発見された

その異常な軌道から太陽系の外から来た天体であることはすぐに判明したが、さらにさまざまな研究が重ねられた。結果、この彗星が銀河系の「厚い円盤(シックディスク)」と呼ばれる、太陽よりもはるか以前に形成された古い恒星集団に由来する可能性が高いと考える研究者たちも出てきた。

この起源が正しければ、3I/ATLASは非常に古い天体ということになる。太陽系の彗星の年齢が最大でも約45億年とされるのに対し、3I/ATLASは最大で約70億年に達する可能性があるという。

オックスフォード大学の天文学者マシュー・ホプキンス氏は、今年初めに「人類がこれまで観測した中で最も古い彗星になるかもしれない」と説明している
オックスフォード大学の天文学者マシュー・ホプキンス氏は、今年初めに「人類がこれまで観測した中で最も古い彗星になるかもしれない」と説明している



通過中の挙動も、天文学者たちを驚かせた。10月下旬に太陽へ接近した際、彗星は予想以上の速さで明るくなったのだ。通常、彗星は太陽の熱で氷が昇華し、コマや尾が形成されることで徐々に明るくなる。しかし、STEREOやSOHO、GOES-19といった宇宙探査機の観測によると、3I/ATLASは同じ距離にある一般的な彗星よりも急激に増光していた。その理由は、今のところはっきりしていない。

3I/ATLASはすでに去りつつあるが、その科学的価値はこれからも続く。今回の短い滞在で得られたデータは、今後何年にもわたって解析され、他の恒星の周囲で惑星系がどのように形成されるのか、物質が星から星へどのように移動するのかといった理解を深める手がかりになるだろう。

その意味で、この彗星は太陽系を去ったものの、銀河全体について語る物語は、むしろ今始まったばかりだといえる。




(この記事は、英国のテクノロジー特化メディア「Wonderfulengineering.com」から翻訳したものです)

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