北米

2026.01.18 14:00

米国の災害対応担う「FEMA職員」、1000人規模の削減がもたらす悪影響

Gdisalvo/Shutterstock .com

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ハリケーン・洪水・山火事など、米国の災害対応における“最後の砦”といえる連邦緊急事態管理庁(FEMA)が現在、大規模な人員削減に直面している。FEMA幹部は2026年1月中に、約1000人の災害対応要員が解雇される可能性があると職員に警告した。この動きは、クリスティ・ノーム国土安全保障長官が進める組織再編の一環であり、災害対応の責任を連邦(米政府)から州政府へ移譲しようとするトランプ政権の方針を反映したものだ。

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もっとも懸念されるのは、削減対象の多くが「CORE(Cadre of On-Call Response and Recovery)」と呼ばれる現場の実働部隊である点だ。COREは、2005年のハリケーン・カトリーナにおける対応の失敗を教訓に、迅速な展開を目的に組織された専門職、機動力のある専門部隊である。現場の即応能力を削ぐ決定は、復興の遅れや経済的損失の拡大を招きかねない。災害リスクが高まる中、米政府の機能縮小が地域ビジネスや地域社会に及ぼす深刻な代償について解説する。

FEMAの人員削減計画と災害対応の現場で広がる懸念

ニューヨーク・タイムズ(NYT)は米国時間1月6日、匿名の連邦緊急事態管理庁(FEMA)職員3人の証言を引用し、解雇対象は主に「CORE」と呼ばれるFEMAの非常勤の災害対応・復旧要員だと報じた。CORE職員は、支援金の申請処理から長期的な復興事業の調整まで、災害復旧の現場で中核的な役割を担ってきた。

災害復旧の現場で中核的な役割を担う、CORE職員が削減対象

COREという職種は、ハリケーン・カトリーナ後にFEMAの柔軟性と対応力を高める目的で設けられたもので、常勤の公務員ポストとは異なり、災害発生時に煩雑で時間のかかる採用手続きを経ることなく、被災地へ迅速に人員を配置できる仕組みになっている。

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これまでCOREの職員は、FEMA全体の40%近くを占めてきた。NYTが確認した政府の人員計画文書によれば、さらに踏み込んだ削減も示唆されている。あるシナリオでは、現在約2万3000人を擁するFEMAから、1万1500人以上の削減が想定されている。

FEMAの当局者は、この文書が通常の人員計画の一環として作成されたと説明した。しかし、想定される削減規模の大きさに、緊急事態対応の専門家コミュニティでは懸念が広がっている。その影響は、災害からの復旧が遅れ、結果としてコストが膨らむことにとどまらず、州や市町村が初期段階で負担する費用の増加を引き起こすかもしれない。企業の経営者や州政府の関係者にとって、FEMAの人員規模の変化は、次の危機に連邦政府の体制がどこまで耐えられるのかを示す、重要な早期警告となる。

民主党議員が書簡を送り、FEMAでのさらなる解雇の中止を求める

そのため、民主党議員2名がノーム長官に書簡を送り、削減の撤回を求めた。グレッグ・カサー下院議員(テキサス州)とジョー・ネグース下院議員(コロラド州)は、「提案された削減は、災害に対応するFEMAの能力を壊滅させるものだ。(中略)我々はCORE職員の契約を更新し、FEMAでのさらなる解雇を行わず、同庁を解体する計画を断念するよう強く求める」と記した。

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翻訳=上田裕資

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