北米

2026.01.18 14:00

米国の災害対応担う「FEMA職員」、1000人規模の削減がもたらす悪影響

Gdisalvo/Shutterstock .com

ロサンゼルスの山火事対応において、懸念される悪影響の実例が示される

FEMAの人員削減によって懸念される悪影響の実例は、約1年前に発生したロサンゼルスの山火事への対応事例ですでに示されている。2025年1月の山火事は、数千万平方メートルを焼き尽くし、数千人が家を失った。現地の今の状況は、大規模災害の後に多くの地域が直面する長い復旧の道のりと、連邦政府による持続的な対応能力が不可欠であることを浮き彫りにしている。

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支援の遅れや事務手続きの滞りが本格的な復興の妨げに

被災者の多くは、支援の遅れや事務手続きの滞りの影響を現在も実感している。カリフォルニア州で復興支援に携わってきた非営利団体エンタープライズ・コミュニティ・パートナーズは、復旧の進み方が一様ではなかったと説明する。がれき撤去が数カ月前に完了したにもかかわらず、手頃な価格の住宅や再建支援には大きな不足が残っているという。継続的なケースマネジメントや資金供給の一貫性の欠如が、緊急対応段階から地域全体の本格的な復興への移行を妨げてきた。

カリフォルニア州ロサンゼルスの山火事で破壊された太平洋海岸高速道路沿いの建物 2025年1月撮影(Sua Sponte Photography/Shutterstock.com)
カリフォルニア州ロサンゼルスの山火事で破壊された太平洋海岸高速道路沿いの建物 2025年1月撮影(Sua Sponte Photography/Shutterstock.com)

政府の説明責任や資金配分について、被災者や支援団体が明確な説明を求める

ニュースサイト、ポリティコは山火事から1年の節目に合わせた記事で、政府の説明責任にも疑問を投げかけた。被災者や支援団体は、資金がどのように配分されたのか、なぜ一部の地域で復旧が遅れたのかについて、いまだ明確な説明を求めている。この報道が示す連邦政府の災害対応における教訓は明確だ。復興は、煙が消えた時点で終わるものではない。何年にもわたって続き、十分な人員配置、安定した資金の流れ、そして複雑な復旧制度を地域が乗り越えるための継続的な関与が必要になる。

ロサンゼルスの復興事例は、人員削減がもたらす現実的な影響を如実に示している。職員数が減少すれば、災害対応や復旧、被害の軽減、そして長期的な地域の強靱性計画といった取り組みの継続性の維持を困難にする。気候変動に起因する災害リスクが高まる時代においてこうした隙間は、人命と経済の双方に深刻な代償をもたらすことになる。

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FEMAの人員削減や対応能力の低下は、一見すると政府レベルの話に映るかもしれない。だが、このような決定は、インフラの復旧がどれだけ早く進むか、事業者がいつ営業を再開できるか、保険金請求がどれほど円滑に処理されるかといった点に直結する。復旧が遅れれば、保険会社の負担は増し、地方自治体への圧力は高まり、労働力の混乱も長期化する。大規模な人員削減の影響は、次の大規模災害が起きたときの復旧の遅れとなって露呈する。

復旧作業の遅延は、新たなビジネス機会の喪失にもつながる

復旧作業の遅延は、本来進められるはずだった事業や、新たなビジネス機会を失うことも意味する。サービスや対応能力が不足している地域に、投資家は容易に資金を投じようとはしない。こうした削減の波及効果は、次の大規模災害に直面した際、連邦政府と企業社会の体制がどこまで機能するのかをはっきりと示すことになる。

進行中の長期復旧案件への影響、情報共有不足による現場の混乱

今回のFEMAの人員削減は、その時期も大きな論点になっている。FEMAは現在も、ロサンゼルスの山火事からの復旧に加え、2025年にカリフォルニア各地で発生した洪水や、2024年にハリケーン「ヘリーン」がノースカロライナ州にもたらした甚大な被害など、複数の長期復旧案件への対応を続けている。

しかし、こうした状況にもかかわらずFEMAと地域・州・自治体レベルの緊急事態管理当局との間で迅速な情報共有が十分に行われていない。ある地域の緊急事態管理担当者は、「人員削減は予想されていたが、これほどの規模の削減が事前の警告も説明もないまま進められると、対処のための時間がない」と、職業上の不利益を恐れて匿名を条件にコメントした。

この担当者によれば、人員削減の情報は、FEMAや州のパートナーから直接伝えられたのではなく、報道を通じて知ったという。復旧のスケジュールには、すでに遅れが出始めている。

職員や資金の削減によって復旧自体が進まない可能性

「職員や資金の削減によって、復旧に時間がかかる、あるいは復旧そのものが進まない可能性がある案件がすでにいくつかある」とこの担当者は述べ、具体例として、ヘリーンからの復旧作業や、カリフォルニアの洪水被害への対応を挙げた。

複数のメディアが引用した米政府監査院(GAO)の分析によれば、COREの職員は2022年時点でFEMA全体の人員の39%を占めていた。FEMAの元法務責任者アーネスト・アボットは、この人員構成について、災害対応の局面ごとに専門性を維持しつつ、必要に応じて業務規模を柔軟に拡大することを可能にする設計だったと説明している。

こうした職を削減すれば、法的・政策的な問題が生じる。カトリーナ後に制定された連邦法は、国土安全保障長官がFEMAの実働能力を大幅に縮小することに一定の歯止めをかけていた。この法的制約は現在、議会で改めて注目を集めている。

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翻訳=上田裕資

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