最高経営責任者(CEO)が、何カ月もかけて丁寧に作り上げた新しいパーパスステートメントを発表する。「私たちは人間の可能性を引き出すために存在する」と述べると拍手が起こり、出席者は頷き、後列の誰かがLinkedIn用に写真を撮る。あなたは、そうしたタウンホールに参加したことがあるかもしれない。
だが、パーパスステートメントはそれを支えることができる仕組みの上に築かれていなければ、何の重みも持たない。
私は、そうした場に何十回も居合わせてきた。そして、リーダーたちが確信に満ちた態度を取りながら、そのパーパスと矛盾するあらゆる仕組みを完全にそのまま温存しているのを見てきた。
そうした組織は、パーパスステートメントを発表してから3カ月たっても何も変わっていない。予算は相変わらず、短期的な利益追求を評価する。昇進の基準は依然として、個人の英雄的な振る舞いを好む。会議のアジェンダでは、時間が余ったときに最後に5分だけカルチャーが扱われる。掲げられたパーパスを本気で実行に移そうとする従業員は、優先順位について諭される。
従業員はすぐに、パーパスとは公の場で語るものであり、実際に評価されるものではないのだということを学ぶ。
調査会社Gallup(ギャラップ)でリーダーシップとカルチャーを研究する中で、私はこのパターンが組織を破壊していくのを目の当たりにしてきた。リーダーは「はっきりさせること」と「整合させること」を混同する。パーパスが十分鼓舞するように響けば、行動は後からついてくると思い込む。だがそうはならない。説明責任と切り離されたパーパスは、パフォーマンスアートにすぎない。
CEOの仕事は、人々がパーパスを好きになるようにすることではない。パーパスに取り組むことが避けられない状態になるように、仕組みを整合させることだ。
そのためには、リーダーをかなり不快にさせる必要がある。
ほとんどのリーダーは、それを理解していると言う。だが行動を見ると、そうではないことが分かる。
パフォーマンスの問題
私が研究してきた、変革に失敗した例はすべて同じパターンだ。仕組みが変わるまで、何も変わらない。構造の問題をパーパスの力だけで乗り越えることはできない。
パーパスステートメントの大半が失敗するのは、リーダーがそれを設計ではなく理想として扱うからだ。「顧客第一」と宣言しながら、あらゆる仕組みをそのままにする。私はこの失敗の型を何度も見てきたため、予測すらできる。従業員は掲げられたパーパスに取り組もうとし、組織はそうする人を罰する。そして全員がパーパスはプレゼン用であり、実践するものではないことを学ぶ。
ダグ・コナントは2001年にCampbell Soup(キャンベルスープ)のCEOに着任したとき、このことを理解していた。コナントが引き継いだのは危機にある企業だった。長年のコスト削減で信頼が形骸化し、時価総額は半分に落ち込んでいた。だがコナントがその後10年で築いたものは、現代のビジネスで最も研究されるリーダーシップの立て直し事例の1つとなった。キャンベルをトップクラスの食品企業へ変貌させた一方で、その規模の企業としては過去最高レベルのエンゲージメントカルチャーを構築した。
私はコナントに最初に何をしたのかを尋ねた。その答えに私は驚いた。というのも、多くのリーダーが拒むものだったからだ。
「上位350人のリーダーに、四半期ごとに測定するカルチャースコアがあなたたちの雇用を左右すると伝えた。スコアが評価に影響する、ではない。リーダーらが職を維持できるかどうかを決める、だ」
その350人のうち300人が3年で社を去った。7人中6人だ。



