「宇宙では、小型人工衛星が群をなす衛星コンステレーションがいくつも構築されている。このモデルを海で展開すれば、海洋の課題を解決できるのではないか」。その思いのもと、小畑実昭と本田拓馬は2023年11月にOceanic Constellations(オーシャニック・コンステレーションズ。以下、OC)を創業した。無人小型船を多数海上に配置することで、海を常時監視する海洋コンステレーションの開発に取り組む。
各無人船は全長数メートルで、各種センサーやカメラ、太陽光パネル、蓄電池を搭載している。実際の海のデータを取り込んだ仮想空間上で航行シミュレーションを行い、AIが衝突回避や気象条件に応じた最適配置を学習。無人船は学習データをもとに海上で自律的に航行する。「自動運転技術を開発しているWaymoも、仮想空間でのテストで社会実装を早めた。我々も同様の方法でスピーディに事業を広げたい」(小畑)。
現在は、鎌倉市と地元の漁業組合と連携し、従来から人手が足りていない密漁監視の実証実験を進め、密漁の検知に成功している。可能性は密漁監視にとどまらない。開発を進める次世代機は、音波で水中探知を行うソナーが備え付けられている。地震発生後にリアルタイムで海底地形の変化を把握し、漁礁では魚群探知を行うことで海中環境の変化をとらえられる。これにより有人船の航行リスクを察知して注意を促すことが可能だ。本田は「人工衛星は電波が届かない水中を観測できない。その領域をカバーし、両者をつなぐ存在になる」と話す。26年度からは無人船の量産に着手する。27年度には数十台の無人船を配置し、複数の海洋課題解決を進めていく予定だ。
おばた・さねあき◎2001年東京大学法学部卒業後、ゴールドマン・サックス証券に入社。ヘッジファンドを経て、08年にゼブラルを、23年に同社を創業。
ほんだ・たくま◎15年東京大学大学院工学系研究科修了後、三井物産に入社。社内起業制度で宇宙事業立ち上げる。23年同社を共同創業。



