コモドドラゴンは、なぜ生物学的に重要か
コモドドラゴンは、並外れた大きさのトカゲで、強烈な噛みつき攻撃で悪名高い、と単純な形で理解している人は多い。しかしそれでは、進化と動物の生態に関して、コモドドラゴンがもたらす、より広範な洞察を見落としてしまう。
まず特筆すべきは、コモドドラゴンが、爬虫類の生物学に関する単純化された説明の多くに反していることだ。とりわけ、彼らの心臓血管機能と代謝面での適応は、動物を「冷血動物」と「温血動物」に二分して生理機能を説明する、旧来の考えとは相容れない。この事実だけを見ても、コモドドラゴンは、脊椎動物の代謝戦略の多様性について、また多様性を生み出した進化的トレードオフについて、多くの重要な疑問を提起する存在だ。
コモドドラゴンの毒が、かつて細菌感染と誤解されていたことからは、生物がもつ複雑な形質が、誤った前提に立って見ているかぎり、容易に誤解され得ることがわかる。研究者たちはいま、コモドドラゴンの毒を捕食のための重要形質と位置づけた上で、さまざまな系統の爬虫類において、毒がいかに進化し、どのような機能を担っているかを再考しはじめている。
一方、コモドドラゴンは、直近の大量絶滅事象を、島に生息する一部の巨大動物が回避したことについて、知られているかぎり最良のモデルとなる現生種だ。化石証拠からは、この種が約400万年前に進化したこと、かつてはオーストラリアに広く分布し、のちにインドネシア群島に進出したこと(現在生き残っている個体群はその地域にのみ存在)がわかっている。
しかし何よりも重要なのは、この巨大なトカゲが、自然保護と生物学的発見の密接なつながりを思い起こさせることだ。ほんのひと握りの島々にのみ分布する絶滅危惧種であるコモドドラゴンは、強大な捕食者であると同時に、危機に極めて脆弱でもある。生息地の保護は、この驚くべき動物を守り、彼らが示す「進化生物学における教訓」を学ぶ上で不可欠なのだ。


