トカゲの1種を「ドラゴン」に変えた進化的適応
コモドドラゴンは進化が生み出した驚異であり、さまざまな適応のおかげで、地球上で最強クラスの待ち伏せ型捕食者として君臨している。2019年に学術誌『Nature Ecology & Evolution』に掲載されたゲノム研究では、代謝、心臓血管機能、感覚能力に関連する遺伝子に正の選択が働いていることが明らかになった。これらの形質は総合的に、隠密行動に長けたコモドドラゴンの機会を逃さない狩猟戦略を可能にするものだ。
オオトカゲ(とりわけコモドドラゴン)は、ほとんどの爬虫類と異なり、外温性動物としては最大酸素摂取量が極めて多い。これは簡単に言えば、オオトカゲが長時間にわたって動かずにいられることを意味する。彼らは、エネルギーを浪費することなく獲物を追跡し、そして突然、爆発的なスピードと攻撃力を解き放つことができる。待ち伏せに最適化された戦略であり、彼らは辛抱強く待ち続け、状況を把握した上で、必殺の攻撃を繰り出す。
さらに、コモドドラゴンの心臓血管系も高度に特殊化している。前述の研究によれば、心臓と循環器は、急激な血流量増加と血圧上昇に耐えられるような適応を備えている。これらは、獲物への爆発的な突進や、噛みついたあとで、暴れる大型の獲物を抑え込むのに役立っていると考えられる。
獲物は、たとえ最初の攻撃をどうにか逃れたとしても、毒の作用、傷口からの出血、そして細菌感染により、時とともに衰弱していくので、コモドドラゴンはただ寝そべって待てばいい。つまりコモドドラゴンは、長距離にわたる追走という苦労をすることなく、悠々と追跡し、最終的に仕留めることができるのだ。
2019年の研究から、コモドドラゴンのずば抜けた化学感覚能力も明らかになった。彼らは、二又に分かれた舌と鋤鼻器(口蓋にある、鼻腔とは独立した嗅覚器官。ヤコブソン器官とも呼ばれる)を使って、死肉や手負いの獲物が放出する化学的手がかりを、驚くほど遠くから感知する。
数km先のシカやスイギュウが何も知らずに草を食むあいだに、コモドドラゴンはほんのわずかなにおいの痕跡を嗅ぎつけている。そのため彼らは、奇襲攻撃の効果が最大限に高まるよう、アプローチを微調整することができる。
これらの適応が合わさって、待ち伏せ型捕食に見事に最適化された狩猟戦略が完成される。コモドドラゴンは、長距離にわたって獲物を追走する必要がない。代わりに、ひたすら待ち、恐ろしいほど効率的な攻撃を繰り出し、進化が磨き上げた武器を駆使して、獲物の息の根を止めるのだ。


