シンガポールでモバイル型保険会社SinglifeのCEOを2021年まで務めたイタリア人のサマンサ・ギオッティは、次の市場を探していた。目をつけたのは、日本で21年に金融サービス仲介業が創設され、銀行・証券・保険・貸金の4分野の商品をひとつの事業者がワンストップで仲介できるようになるというニュースだった。ギオッティは、同社CSO(最高戦略責任者)のリアム・マカンスとともに日本で市場調査を行った。
見えてきたのは、強い貯蓄信仰が存在するうえ、金融商品の種類が多く煩雑で資産運用に踏み出せない人が多い実情だ。「日本の考え方や課題を理解し、培ってきた金融事業の知見をもち込めば価値提供できると思った」とギオッティは振り返る。21年11月にHabittoを創業し、22年10月には金融庁の審査を経て金融サービス仲介事業者として登録された。
Habittoは、年利0.5%(預金額100万円まで適用)という国内では高金利の預金口座を提供し、保険や投資信託の購入までをひとつのアプリで完結できるサービスだ。専属アドバイザーに無料相談でき、ユーザーの関心や人生設計に寄り沿った提案をしてくれる。「0.5%という金利で、広告宣伝費をかけずとも高い訴求効果を得られている。保守的な日本人には“人が介在する安心感”が欠かせないと考えて配置したアドバイザーもユーザーを引きつけています」。アプリ登録者はサービス開始から約2年半で5万人。30代から40代の家庭をもつ人が中心だ。
今後はAIを活用した会話型の銀行機能や新しい投信商品の提供を始める。ギオッティは、「金融サービスが統合されたプラットフォームを目指す」と意欲を見せる。
サマンサ・ギオッティ◎イタリア出身。シンガポールのモバイル型保険会社Singlifeを2021年まで率い、同年11月に日本でHabittoを共同創業。金融・テクノロジー分野で20年以上の経験を持つ。



