47歳で約300億円の大型契約、米ポッドキャスト業界で注目されるシャルルマーニュ・ザ・ゴッド

シャルルマーニュ・ザ・ゴッド(Photo by Paras Griffin/Getty Images)

シャルルマーニュ・ザ・ゴッド(Photo by Paras Griffin/Getty Images)

米ラジオパーソナリティのシャルルマーニュ・ザ・ゴッドは先日、音声メディア企業iHeartMediaと総額2億ドル(約312億円。1ドル=156円換算)の大型契約を結んだ。彼は今、自身が率いるポッドキャスト番組のネットワーク「ブラック・エフェクト・ネットワーク」を、黒人カルチャーを軸とした人気のテレビ局BET(ブラック・エンターテイメント・テレビジョン)のような存在に押し上げようとしている。

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コミック専門店で見せた素顔と、人気ラジオ番組での過激な語り口

11月の冷え込んだ夜、ニューヨークにあるコミック専門店の店内を、シャルルマーニュはゆっくりと歩き回っていた。子ども時代に心を奪われたヒーローや悪役の世界に、再び引き込まれていたのだ。「究極の現実逃避だよ。ここに登場する人物は、誰もがそれぞれの役割を担っている」と彼は語る。

黒のピーコートに白いフーディー、黒いジーンズ、そしてタンカラーのティンバーランドのブーツという装いのシャルルマーニュは、朝のラジオ番組『ザ・ブレックファスト・クラブ』で見せる過激な語り口から連想されがちな「メディアの自警団員」のイメージとは、どこか違って見える。

47歳のコミック好きは、バットマンやスーパーマン、ウルヴァリン、そしてお気に入りだというルーク・ケイジの原画コミックをめくりながら、自分の公的な顔と私的な顔について、静かに思いを巡らせている。

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「自分は“スマート・ハルク”みたいな存在だ」とシャルルマーニュは、マーベル・コミックに登場するスーパーヒーローを引き合いに出してフォーブスに語る。「天才物理学者のブルース・バナーが、超人ハルクと自分自身を融合させた姿がスマート・ハルクだ」と話す彼は、「自分はレナード・マッケルヴィーなんだ」と本名を口にし、「シャルルマーニュという存在は、今ではその延長線上にある」と続けた。

企業の取り組みや政治の話題でも、相手を選ばず噛みつく過激なスタイル

もっとも、シャルルマーニュの名前は、この数十年で世間に広く知られるようになった。彼は、サウスカロライナ州チャールストンのラジオ局Z93でインターンとしてキャリアをスタートした。ウェンディ・ウィリアムズの番組を経て、2010年にDJエンヴィー、アンジェラ・イーとともに全米向けラジオ番組『ザ・ブレックファスト・クラブ』に参加している。iHeartMediaのネットワークを通じて100以上の放送局で放送されるこの番組で、彼はあるときは毒舌家として振る舞い、あるときは声なき人々の代弁者となり、メンタルヘルスの擁護者にもなる。そうした立ち位置について、シャルルマーニュは「下品さと正義感」のバランスが大事だと語る。つまり、踏み込むことを恐れない。

シャルルマーニュは、企業によるDEI(多様性・公平性・包摂性)の取り組みを、「善意から生まれたものではあるが、ほとんどはゴミだ」と切り捨ててきた。『ザ・ブレックファスト・クラブ』で彼は、著名DJのディディを「詐欺師」と呼び、ニッキー・ミナージュを「臭くて下品」と批判し、ポスト・マローンについては「自分の好みのマヨネーズじゃない」とこき下ろしている。

政治の話題でも、シャルルマーニュは相手を選ばず噛みつく。下院民主党院内総務のハキーム・ジェフリーズから、名前をもじって「ペテン師」というあだ名で揶揄されると、今度はジェフリーズを「チャック・E・チーズ版オバマ」と皮肉り返した。また、ジョー・バイデンに対して大統領選からの撤退を求めていた一方で、トランプ大統領のことはたびたび「ファシスト」と呼んできた。その結果、トランプからは「人種差別主義の下劣漢」と罵られることになった。

長年『デイリー・ショー』の司会を務めてきたジョン・スチュワートは、番組の常連であるシャルルマーニュについて、「恐れを知らない人物だ」と評価する。「彼には、会話の本質を一気に抽出する驚異的な能力がある。それはクリック狙いの作為ではない。本物だ」。

iHeartMediaの会長兼CEOであるボブ・ピットマンもこう語る。「彼の発言に異論が出るのは当然だ。だが、それを恐れずに語るところに、シャルルマーニュらしさがある」。

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翻訳=上田裕資

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