47歳で約300億円の大型契約、米ポッドキャスト業界で注目されるシャルルマーニュ・ザ・ゴッド

シャルルマーニュ・ザ・ゴッド(Photo by Paras Griffin/Getty Images)

コミック収集に夢中だった少年時代、ドラッグ売買に手を染めた過去

偉大なコミックヒーローに必ず“誕生の物語”があるように、シャルルマーニュにも原点がある。彼は、英語教師の母と建設作業員の父の間に生まれ、サウスカロライナ州モンクス・コーナーで育った。幼い頃にコミック収集に夢中になり、登場するヒーローたちをより身近な存在に描き直していたという。「キャプテン・アメリカを、キャプテン・アフリカにしたこともあった。黒人版のウルヴァリンもいたし、そのうちルーク・ケイジという存在を知るようになった」と彼は振り返る。

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だが、そうしたヒーローたちも、現実世界の悪役から彼を守ってはくれなかった。8歳のとき、家族の一人から性的虐待を受けた。現在のシャルルマーニュは、その体験を隠すことなく語り、自身のメンタルヘルスの歩みを語る材料にしている。「あの人の話を、あえて笑い話のように口にしてきた」と彼は言う。「ジェリカール(当時流行していたパーマスタイル)の整髪料の匂いが本当に嫌いだった。冗談めかして話すことで、その話題を避けずにいられた」。

17歳になる頃に彼は、2つの高校を退学になり、酒に溺れ、ドラッグの売買にも手を染めていた。路上で身元を隠すため、自らを「チャーリー」と名乗るようになる。名前の由来は、9世紀の神聖ローマ皇帝シャルルマーニュ(カール大帝)と、20世紀初頭に米国の占領に抵抗したハイチの指導者シャルルマーニュ・ペラルトだった。だが、ストリートでの生活は次第に彼を追い詰める。敵対するドラッグディーラーとの銃撃事件の後、45日間の禁錮刑を受け、数カ月後には麻薬捜査で再び逮捕された。2度目の収監を振り返り、シャルルマーニュは「あれが、変化の始まりだった」と語る。

ラジオ番組でゲストを挑発する悪役の立ち回り、人気ポッドキャストへの道

サウスカロライナ州チャールストンのラジオ局Z93で若手アシスタントとして働いていた頃、シャルルマーニュは全米規模のメディアパーソナリティになることを夢見ていた。その当時、彼が憧れたのは深夜トーク番組の司会者アーセニオ・ホールと、黒人向けテレビ局BETで活躍した司会者ピーティ・グリーンの2人だったという。その思いは、近隣都市コロンビアのHot 103.9での仕事につながり、2006年にはニューヨークのWBLSで、ウェンディ・ウィリアムズの相棒役として働く機会を得る。

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この頃、シャルルマーニュは、ゲストを挑発することで番組を盛り上げる「悪役」の立ち回りを身に付けていった。「ウェンディは、当時の私を切り込み役のように扱っていた」と彼は振り返る。だが、そのやり方は結果を生んだ。全米レベルの注目を集め、2年後にはフィラデルフィアのラジオ局100.3 The Beatで司会を務めるようになり、やがてニューヨークのPower 105.1で放送される『ザ・ブレックファスト・クラブ』に参加した。

現在はiHeartMediaやアップル、スポティファイ、YouTubeを通じて配信されているこの番組はニールセンのデータによればトップ50に入る人気ポッドキャストとなっている。「ここに来るまで、一気に駆け上がったわけじゃない」とシャルルマーニュは言う。「階段を一段ずつ上ってきた。自分がどうやってここまで来たのか、その道のりを考えてほしい。より良い自分になること、メンタル面への投資を本気でやってきた。その結果が、いまの私なんだ」。

制作会社の共同設立やファストフード店など、多岐にわたる事業への野心

シャルルマーニュの野心は、ブラック・エフェクト・ネットワークの拡大を超えて広がっている。コメディアンのケヴィン・ハートとともにSBHプロダクションズを共同設立した彼は、3冊の著書を持つ作家でもある。出版大手サイモン&シュスターとも組み、Black Privilegeという書籍レーベルも立ち上げた。

2024年には、サウスカロライナ州でファストフード店Krystalのフランチャイズ1号店を開業し、最終的に6店舗を展開する計画だ。この事業は、ラッパーのリック・ロスや2チェインズのほか、NBA選手から実業家に転じた故ジュニア・ブリッジマンの影響を受けたものだという。ブリッジマンは、ウェンディーズやチリーズのフランチャイズ投資を足がかりに事業を拡大し、最終的にコカ・コーラのボトリング事業を取得してビリオネアとなった人物だ。

原点であるコミックへの情熱、新しい世代の黒人キャラクターの創造

「ファストフードのフランチャイズを経営することが、昔からの夢だった」とシャルルマーニュは語る。そしてもちろん、コミックへの情熱も失ってはいない。自身をモデルにした、神のような力を持つキャラクターを軸にしたコミックシリーズを立ち上げる構想も描いている。その発想の源にあるのが、1960年代半ばに登場したブラック・ナショナリズム系の思想集団「ファイブ・パーセント・ネイション」の教えだ。

同団体は、黒人男性を「神」、黒人女性を「大地」の象徴と捉える思想で知られる。シャルルマーニュはすでに、AWAスタジオズと組み、全5話からなるコミックシリーズ『The ILLuminati』を発表している。目標は、新しい世代の黒人キャラクターを生み出すことだ。「コミックにも、新しい時代が必要だ」と彼は語った。

forbes.com 原文

翻訳=上田裕資

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