音声メディア企業との約312億円の契約延長、ポッドキャスト収益の拡大
そして、その過激さで彼は一貫して巨額の報酬を得てきた。8月、シャルルマーニュはiHeartMediaと5年で総額2億ドル(約312億円)の契約延長を結んだ。この契約により、彼は『ザ・ブレックファスト・クラブ』への出演を続けることに加え、2024年スポティファイと推定2億5000万ドル(約390億円)の複数年契約を結んだジョー・ローガンと並ぶポジションを確立した。
シャルルマーニュをつなぎ留めることは、iHeartMediaにとって極めて重要だ。同社は2026年から、『ザ・ブレックファスト・クラブ』を含む15本のポッドキャストをネットフリックスで配信する契約を結んでいる。だがそれ以上に重要なのは、今回の新契約が、iHeartMediaとの合弁事業であるブラック・エフェクトのポッドキャスト・ネットワークの拡大を後押しする点にある。
「iHeartMediaとの新しい契約を考えたとき、ただの出演者で終わりたくないと思った。ポッドキャストのネットワークをつくりたかった。ポッドキャスト版のBETをつくりたかったんだ」とシャルルマーニュは語る。
ブラック・エフェクトは2020年以降、元NBAスターのマット・バーンズやスティーブン・ジャクソン、起業家のデイモンド・ジョン、ジョン・ホープ・ブライアントなどと組んだ番組を展開している。60本以上の番組を立ち上げており、現在では、iHeartMediaの収益を支える重要な柱の1つとなっている。同社によると、2024年のポッドキャスト収益は4億4880万ドル(約700億円)で、2021年の2億5260万ドル(約394億円)、その前年2020年の1億100万ドル(約158億円)から大きく伸びた。シャルルマーニュは、2026年に10本の番組を追加したいと話す。
「彼は、私を世に出すために、あえて大きなリスクを取ってきた」と語るのは、『マネー・アンド・ウェルス』のホストを務めるブライアントだ。この提携によって番組の知名度は大きく高まったという。
「100人の自分の分身を作りたい」と話すシャルルマーニュは、自前のスタジオを築いたオプラ・ウィンフリーやタイラー・ペリーをロールモデルとして意識している。また、ラジオ司会者としてキャリアを始めた後にテレビ界に転身し、特にカーダシアン一家を手がけたことで知られる有力プロデューサーのライアン・シークレストからも着想を得ている。
「シャルルマーニュは、自分が目指すゴールに向かって着実に進んでいる。こうした人物は、そう多くはいない」とiHeartMediaのピットマンは話す。
デジタル広告の指標で価値が判断される、ポッドキャストの新たな収益モデル
シャルルマーニュがポッドキャストの世界に足を踏み入れた2014年以降、この業界は大きく様変わりした。「当時は広告収入と著名人の知名度が収益の柱だったが、現在は事情が違う」と語るのは、バージニア州を拠点とするメディアコンサルティング会社BIAアドバイザリーのマネージング・ディレクター、リック・デューシーだ。「現在のポッドキャストは、“誰の番組か”よりも、どれだけ聴かれ、どんな反応があったかというデジタル広告の指標で価値が判断されるビジネスになった。つまり収益モデルが完全にデジタル化したということだ。だからこそ、効率的で、効果も高い」。
「今は、ポッドキャストというビジネスが本当に理解されるようになった。ダウンロード数を見れば、その人がいくらもらうべきかがすぐ分かる」とシャルルマーニュも言う。
現在、ブラック・エフェクトのようなポッドキャスト・ネットワークの収益モデルは大きく2つに分かれる。自前で運営するか、iHeartMediaのようなメディア大手と配信契約を結ぶかだ。たとえば2024年11月には、人気番組『コール・ハー・ダディ』の司会者アレックス・クーパーが立ち上げたUnwell Networkが、シリウスXMと3年総額1億2500万ドル(約195億円)の配信契約を結んだ。これに先立ち、クーパーは2021年にスポティファイと6000万ドル(約94億円)の契約を結んでいた。独立路線では、ヒップホップアーティストのジョー・バドゥンが、自身のJoe Budden Networkで広告と有料購読を通じ、年間2000万ドル(約31億円)以上を稼いでいるとニューヨーク・タイムズ(NYT)は報じている。
「新人のポッドキャスターには、『最低保証額はできるだけ低くするか、いっそゼロにしたほうがいい』とよく言っている」とシャルルマーニュは語る。「最低保証をもらうより、広告収入だけにしたほうが、結果的に稼げることも多い」。
シャルルマーニュはまた、iHeartMediaのオーディエンス基盤を広げる取り組みにも力を入れている。6月にブラック・エフェクトは、人気の音楽ポッドキャストDrink Champsと合弁事業を立ち上げたと発表した。同番組は、独自の番組群を展開し始めている。
「iHeartが進めているこうしたコンテンツの配置は、ポッドキャストというプラットフォームにおいて大きな意味を持つ。魅力的なコンテンツを持ち込むことで、リスナーも広告費も増えていくはずだ」とBIAアドバイザリーのデューシーは評価する。PodcastOneの社長、キット・グレイは、「シャルルマーニュの傘下にあるネットワークを見渡せば、彼が後押しし、iHeartを通じてリソースを与え、そこから持ち分を得るにふさわしい若い才能が見えてくる」と語る。


