宇宙

2026.01.05 10:00

驚異の「赤外102色」最新宇宙地図 銀河の3Dマッピングの実現、宇宙の謎解明に期待

2025年3月に打ち上げられたNASAのSPHEREx宇宙望遠鏡が観測開始以来初めて完成させた赤外線102色(観測波長帯)の全天地図。5月~12月に収集した観測データを使用し、主に恒星(青、緑、白)、高温の水素ガス(青)、宇宙塵(赤)が発する赤外線を可視光色で示している。画像中央を走る明るい領域は天の川銀河(銀河系)で、その上下にある点光源の大半は他の銀河(NASA/JPL-Caltech)

膨大な数の恒星や銀河が発するSPHERExで観測可能な波長域の赤外光を示した全天地図。塵や高温ガスから放射される波長の赤外光を除去して恒星や銀河をより見やすくしている(NASA/JPL-Caltech)
膨大な数の恒星や銀河が発するSPHERExで観測可能な波長域の赤外光を示した全天地図。塵や高温ガスから放射される波長の赤外光を除去して恒星や銀河をより見やすくしている(NASA/JPL-Caltech)

SPHERExとJWSTの違い

赤外線天文学は以前からあるが、SPHERExの観測データの幅広さと奥深さは際立っている。空の狭い一画の高分解能分光観測を専門に行うJWSTとは異なり、SPHERExは視野が広いため、全天走査観測を速やかに実行できる。

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米首都ワシントンにあるNASA本部で天体物理学部門のディレクターを務めるショーン・ドマガルゴールドマンは「本質的に102種類の最新全天地図が得られたことになる。各地図は波長が異なっており、その波長で捉えた天体に関する比類のない情報が含まれている」と説明している。

2年間の観測計画中に全天観測をさらに3回繰り返すことにより、SPHERExは地図データの感度を向上させ、初期宇宙に関して科学者がより多くの発見をする助けになると期待されている。

NASAの宇宙望遠鏡を描いたイラスト。左からハッブル宇宙望遠鏡(1990年打ち上げ)、スピッツァー(2003)、広域赤外線探査衛星WISE(2009)、ジェイムズ・ウェッブ(2021)、SPHEREx(Spectro-Photometer for the History of the Universe, Epoch of Reionization and Ices Explorer、2025)、ナンシー・グレース・ローマン(2027予定)(NASA/JPL-Caltech)
NASAの宇宙望遠鏡を描いたイラスト。左からハッブル宇宙望遠鏡(1990年打ち上げ)、スピッツァー(2003)、広域赤外線探査衛星WISE(2009)、ジェイムズ・ウェッブ(2021)、SPHEREx(Spectro-Photometer for the History of the Universe, Epoch of Reionization and Ices Explorer、2025)、ナンシー・グレース・ローマン(2027予定)(NASA/JPL-Caltech)

SPHERExの他の観測目標

SPHERExが宇宙空間で観測を行う目的は、答えを見つけるのが非常に難しい天体物理学上の問題のいくつかを解決する助けになることだ。その1つが、ビッグバン直後の最初の1秒の1兆分の1の1兆分の1の10億分の1という瞬間に何が起きたかという問題だ。

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これが非常に重要である理由は、この極めて短時間の間に宇宙が「インフレーション時代」と呼ばれる急速で大規模な膨張を経験したからだ。この最初期の事象が宇宙の大規模構造にどのような影響を及ぼしたかを調べるために、SPHERExは数億個の銀河からなる立体(3D)地図の再構成を目指している。

また、SPHERExは銀河系の生命の構成要素に光を当てることも期待されている。星形成や惑星形成の場となる星間雲内の水氷や有機分子の分布を調べることにより、生命を支えることが可能と考えられる環境に関する理解を深めたいと、科学者は考えている。

「天文学者なら皆、この地図で何か価値のあるものを発見することになる。NASAの観測計画によって世界中の人々が、宇宙がどのように始まったかや、宇宙がどのように変化し、最終的に人類の居場所をその内部に形成したかに関する根本的な問題に答えを出すことが可能になるのだ」と、ドマガルゴールドマンはコメントしている。

forbes.com 原文

翻訳=河原稔

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