モビリティ

2025.12.31 11:00

成長と失敗そして戦い、「ロボカー(自動運転車)」の2025年を振り返る

テスラのロボタクシー「サイバーキャブ」(Tesla)

2026年を予測

予測するのは愚かなことだ。ある段階に到達する時期を予測したロボカー開発チームの責任者たちは結局、全員が恥ずかしい思いをした。賢明なウェイモは運用開始の直前まで日程を発表することはほとんどない。イーロン・マスクが、テスラのFSDシステムは「今年中に」監視不要で機能するようになると予測するのは8年連続であり、もはやテスラの熱狂的ファン以外は誰もが無視するようになっている伝説だ。

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というわけで、筆者の最初の予測は、「自動運転車業界で数週間より先の日付を明言した人は、ほとんどまたは全員が屈辱を味わうことになるだろう」というものだ。日付を明言しない人は、我々を驚かせるかもしれない。

「自律性」ということに関しては、多くの混乱が見られるだろう。「自律走行」とは、車内または遠隔の常時監視が不要ということを意味する。人間による監視が必要な車両は、自律走行車ではないし、ロボタクシーでもない。それは試験車両または試作車に過ぎない。本物の自律走行車とは、一般の人々を乗せ、彼らが自由に選んだ出発地点と到着地点の間を送迎できるものだ。出発地や到着地まで短い距離を歩かなければならないとしても、それは問題ない。しかし、固定されたルートを往復するだけのシャトル輸送や、招待者に限定したテストでも、我々の興奮を煽ろうとする者が現れるだろう。

多くの自動運転車開発チームは詳細なデータを公開していない。しかし、安全性に関するデータを公開しないということは、そのデータがあまり良くないということであり、そのような企業が近い将来、自立走行可能なロボタクシーの量産を開始することはないだろうと予測できる。

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テスラはやろうとするかもしれない。イーロン・マスクは、チームに不可能なことを成し遂げさせるために、彼らを厳しく追い込むことを好む。マスクはエルナン・コルテスに少し似ている。伝説によると、コルテスは自軍の兵にメキシコを制服させるため、船を燃やして兵たちの退路を断ったという。その戦略はメキシコ制服を成功させたが、それで失敗した人の話を耳にすることはない。

いずれにせよ、マスクとテスラは、もし、機能するロボタクシーを完成させたと思っても、それからロボタクシー乗車サービスの規模を拡大することの難しさに驚くのではないだろうか。ウーバーにとって、新たな都市に進出することは、ロボタクシーを導入する都市を増やすよりもはるかに簡単だったが、それでも多くの都市に進出するには多くの年月がかかっており、創業から17年経った今もまだすべての都市に進出しているわけではない。

ウェイモは多くの都市を増やすことになるだろう。恥ずかしい失敗も多数経験するだろうが、そこから学習し、二度と同じ失敗を繰り返さないようにすることだ。12月20日夜から翌21日朝にかけてサンフランシスコで発生した大規模停電で、同社の無人運転タクシーが相次いで交差点で立ち往生してしまったことは苦い経験だった。しかし、このような失敗を経験し、そこから学習する必要があることは、事業拡大に長い時間を要する理由の一部でもある。

2026年も退屈な瞬間などほとんどないだろう、ということも予測しておこう。

forbes.com 原文

翻訳=日下部博一

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