モビリティ

2025.12.31 11:00

成長と失敗そして戦い、「ロボカー(自動運転車)」の2025年を振り返る

テスラのロボタクシー「サイバーキャブ」(Tesla)

2. テスラ、前途多難なロボタクシー事業を開始

テスラは最も多くのニュースと論争を生み出している。2025年、同社のイーロン・マスクCEOは、6月に米国テキサス州オースティンで、車内に監視役の人間が同乗しない無人運転のロボタクシーサービスを開始すると公言していたが、その目標は達成することができず、安全のための人間のオペレーターが助手席に乗車(緊急停止ボタンが備わり、いざという時には運転教習所の教官のようにハンドルを操作することができる)する形で運用が始まった。それでもいくつかの軽微な事故が発生したが、にもかかわらず、テスラは統計的なデータを公開していない。

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マスクは当初、ロボタクシーを大規模に展開すると約束していたが、現在オースティンで稼働している同社のロボタクシーは20台程にとどまる。加えてサンフランシスコのベイエリアに数台だ。しかし、最も注目すべき点は監視役の人間を同乗させずに試験走行している車両が数台あることだ。とはいえ、おそらく遠隔監視(安全のために人間のドライバーがハンドルとペダルを遠隔操作できる)しているものと思われる。それでも、これは大きな一歩であり、テスラの開発チームがマスクの公約を実現できるか、間もなく明らかになるだろう。

テスラは長年、同社の「オートパイロット」システムの安全性について、非常に誤解を招きやすいデータを公表してきたが、より高度な「FSD」システムについて、もう少し有用な数値公開した。それによると、市街地で「FSD(監視付き)」システムを有効化したテスラ車は、同システムを使用しない車両に比べて衝突事故が少なくなることが示唆されている。

1. ウェイモの驚異的な成長

2025年はウェイモにとって急速に成長を遂げた最高の年となった。同社は現在、フェニックス、サンフランシスコ、ロサンゼルス、オースティン、アトランタ、マイアミ、ダラス、ヒューストン、サンアントニオ、オルランドの 米国10都市の公道で、監視ドライバーが同乗しないロボタクシーの乗車サービスを運営している。

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2026年にはさらにいくつかの都市でサービスを開始すると発表している。これに加えて、最近ではサンフランシスコ半島の大部分にサービスの展開地域を拡大させ、今では一般の人々を乗せて高速道路も走行できるようになった。これによっていくつかのルートで所有時間が大幅に長くなってしまう制限が解消された。

Zeekrの車両をベースにしたウェイモの自動運転車(Waymo)
Zeekrの車両をベースにしたウェイモの自動運転車(Waymo)

ウェイモは発注済みのジャガーの車両を急速に導入し、中国の吉利汽車グループ傘下の高級電気自動車ブランド「Zeekr(ジーカー)」や、韓国ヒョンデの次世代の車両を試験している。同社は週あたり45万回乗車と合計1億2700万マイル(約2億キロメートル)にのぼる累計2000万回の完全自動運転走行による乗車を達成したと発表。これに迫ると主張できるのはバイドゥだけである。

ウェイモは現在、米国で新たな地域を拡大するランドラッシュ (土地収奪)を単独で進めている。また、東京ロンドンでも試験走行を行っている。2026年には別の企業が競合に加わるのが理想だが、テスラもZooxもまだ準備が整っているようには見えない。

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翻訳=日下部博一

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