モビリティ

2025.12.31 11:00

成長と失敗そして戦い、「ロボカー(自動運転車)」の2025年を振り返る

テスラのロボタクシー「サイバーキャブ」(Tesla)

6. ニューロがロボタクシー事業へ転換

米国ではウェイモ、クルーズをはじめ、現在はMay(メイ)やZoox(ズークス)といった企業も自律走行車を運行している。しかし、5番目の企業となるニューロは、自動配送ロボットプロジェクトの一環として自動運転タクシー事業に参入した。自動配送ロボットは、自律走行車と比べると小さくて軽量で速度は遅く、人間が乗るスペースはないものの、同社はその実用化を成し遂げた。ニューロはこの路線を放棄し、高級電気自動車メーカーのLucid Motors(ルシード・モータース)やウーバーと提携し、そのテクノロジーをロボタクシー事業に投入することを決定した。

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5. Zooxがラスベガスとサンフランシスコでロボタクシーの運行を開始、ただしまだ限定的

アマゾン傘下で自動運転車を開発するZooxは、2024年開始という公約は達成できなかったものの、2025年にラスベガスでロボタクシー運行サービスの提供を開始した。しかし、現在は5カ所の停留所を結ぶシャトル運行のみであり、間もなく6カ所目が追加される予定だ。

サンフランシスコでは、利用者が任意の乗降地点を指定できる本格的な2地点間乗車サービスを展開しているが、現在はごく一部の地域内に限られており、事前に承認を受けた乗客のみが利用できる。それでもこれは大きな一歩であり、近い将来にはZooxのより広範なサービス展開が見られるようになることを期待したい。

Zooxのロボタクシー(Zoox)
サンフランシスコに導入されたZooxのロボタクシー(Zoox)

4. ウェイモとテスラの戦い

最近のロボカーに関する議論で、ウェイモとテスラの優劣についての論争を避けたものはない。筆者は以前の記事で両者を比較する考え方を探ったが、この比較は2026年も続くだろう。

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現時点で、テスラは2つのロボタクシー試験運転を開始しているが、その車両には安全のために人間の運転手が同乗しており、ウェイモが行っているサービスと有意義な比較をすることは不可能だ。テスラは現在、数台の車両を人間の運転手を乗せずに走らせてもいるので(ただしおそらく遠隔で監視を行っている)、この状況は変わるかもしれない。

3. バイドゥ、週25万回の乗車を達成

我々が目にする自動運転車のニュースはほとんどが米国に関連するものであり、欧州での進展はごく少ない。しかし、中国は着実に進歩しており、バイドゥは現在、週あたり25万回の有料乗車を行っていると報じられている(対するウェイモは週45万回)。他にもWeRide(ウィーライド)とPony(ポニー)といった中国企業が乗車サービスを提供しており、UAE(アラブ首長国連邦)で試験運用を行っているほか、その他のいくつかの国々でも展開を計画中だ。

UAEで試験走行するバイドゥの自動運転タクシー(Baidu)
UAEで試験走行するバイドゥの自動運転タクシー(Baidu)

欧州では、フォルクスワーゲングループのMOIA(モイア)が、2026年に自動運転車運行サービスを展開すると発表している。クロアチアの高性能電気自動車(EV)メーカー、Rimac(リマック)が立ち上げたVerne(ヴェルヌ)も、同国首都ザグレブでサービスを開始する予定だ。ただし、両社ともインテル傘下のMobileye(モービルアイ)の自動運転システムを採用しているが、モービルアイはまだ、人間による監視を必要としない無人ロボタクシーの性能を実証していないため、計画通りに進むかどうかは疑わしい。

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翻訳=日下部博一

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