モビリティ

2025.12.31 11:00

成長と失敗そして戦い、「ロボカー(自動運転車)」の2025年を振り返る

テスラのロボタクシー「サイバーキャブ」(Tesla)

9. 自家用ロボカー登場の兆し

自動運転車を手掛ける多くの企業はロボタクシーの開発に取り組んでいるが、それには強い理由がある。しかし、個人用ロボカーに対する関心は依然として高い。

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中国でロボタクシーを開発しているAutoX(オートエックス)は現在、個人向けの高級ロボカーの製造にも意欲を見せており、2026年の出荷を目指している。ウェイモとトヨタ自動車は協業で個人用ロボカーの開発に取り組むと発表した。一方、テスラは常に自家用車に「本物の現実的な監視不要FSD(完全自動運転)」を導入予定であると言ってきたが、まずはロボタクシーから着手している。

8. イーロン・マスクの政界進出

イーロン・マスクの奇妙な政治活動は、ロボタクシーの規制緩和にとどまらず、連邦政府職員を大量解雇したり、有名な「ナチスを連想させる敬礼」をしてテスラの不買運動を巻き起こしたりと、数々の物議を醸した。これが原因となり、マスクのロボタクシー事業は、その目新しさが薄れた後、顧客を得ることが難しくなる可能性がある。ロボタクシーの利用客はすべて都市住民であり、その大部分が民主党支持者だ。

7. ロボタクシーは間違いを犯すが、一般大衆はそれを(少し)受け入れ始めている

今年、ニュースサイトには主にテスラやウェイモのさまざまな自動運転車が間違いを犯したという見出しが溢れていた。その多くは特に害のないものだが、しばしば恐ろしい事故もあった。最も注目を集めたのは、サンフランシスコでウェイモの車両が、発車前に車体の下に潜り込んでいた猫を轢き殺したというニュースだ。この大変愛された猫は多くの反響を巻き起こした。とはいえ、ウェイモの自動運転車はこれまでに5匹の猫を轢いたと報じられているが、同じ距離を人間が運転したら150匹以上の猫を轢き殺していただろうということには留意すべきだろう。

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サンフランシスコで利用客を乗せるウェイモの自動運転タクシー(Waymo)
サンフランシスコで利用客を乗せるウェイモの自動運転タクシー(Waymo)

意外にもサンフランシスコをはじめとするいくつかの地方政府は、自動運転車により協力的になっている。すでにウェイモはサンフランシスコ国際空港に従業員を(そして一般客をサンノゼ空港に)送迎している。さらに、サンフランシスコのマーケット・ストリートでは数年前に自家用車の通行が禁止されたが、ウェイモ(およびウーバー)の車両は現在、通行が許可されている。その一方で、自家用車は依然として通行できない。一般大衆の間に次のような理解が進みつつあるようだ。これほどの距離を走行すれば自動運転車は間違いも犯すが、重要なのは一つひとつの事故ではなく、統計的な数字であり、データによれば統計的には非常に良好であるということだ。

テスラの半自動運転システム「FSD(Full Self Driving)」と「オートパイロット」は長い間、ミスに対する非難を免れてきた。同社のこれらのシステムでは、責任はすべて「(システムの動作を)監視する人間の運転者」にあるとされているからだ。しかし、2025年8月に米国フロリダ州で起きたテスラのオートパイロット搭載車による死傷事故を巡り、同州の連邦地方裁判所が下した3億2900万ドル(約514億円)の損害賠償判決から、状況は変わるかもしれない。さらにテスラは、購入者を混乱させるとの主張から、同社の先進運転支援システムを「オートパイロット」と呼ぶことを止めるように命じられた。

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翻訳=日下部博一

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