ロンドン・ドライからネイビー・ストレングス、樽熟成スタイルまで。ここで紹介する9本のジンは世界の主要スピリッツ・コンペティションを席巻し、世界最高水準の卓越性を体現している
審査員、バーテンダー、バイヤーが繰り返し「世界最高」と名指しした9本
ジンはこれまでになく競争が激しく、そして多様化している。過去10年でこのカテゴリーはロンドン・ドライのルーツをはるかに超えて拡大し、ネイビー・ストレングスの強力な銘柄、ボタニカルの表現力が際立つフレーバード・ジン、さらにはワイン樽熟成の表現(エクスプレッション)まで受け入れてきた。毎年何百もの出品が審査されるなか、雑音を突き抜けて頭角を現すのはごく一握りである。
真の傑出作を特定するため、本稿では2025年の審査期間における最も影響力のある国際コンペティションで、繰り返し受賞した銘柄に焦点を当てる。対象はInternational Wine & Spirit Competition(IWSC)、World Gin Awards、London Spirits Competition、Bartender Spirits Awards、Concours Mondial de Bruxelles、San Francisco World Spirits Competition(SFWSC)だ。これらの審査パネルはスピリッツをブラインドで評価し、新奇性だけではなく、一貫性、バランス、際立ちを評価する。
本稿で挙げる9本は、1度勝っただけではない。表彰台に何度も立ってきた。クラシックなロンドン・ドライ、高アルコールのネイビー・ストレングス、フレーバード、熟成スタイルまでを網羅し、審査員、バーテンダー、バイヤーが繰り返し「世界最高」と名指ししたジンを代表している。
ロンドン・ドライ・ジン
Tanqueray No. TEN(タンカレー・ナンバー・テン)、アルコール度数47.3%、750ml
Tanquerayは2025年に最も多くの賞を獲得したジンの1つであった。SFWSC/Top Shelf AwardsでBest Ginを受賞し、World Gin Awardsでカテゴリー優勝を果たした。NYWSCではBest Ginのファイナリストとなり、Bartender Spirits AwardsとIWSCでゴールドメダルを獲得したほか、「世界最高のジン」を特集する編集記事のまとめでも頻繁に取り上げられた。
このジンは、乾燥ピール(果皮)のみに頼るのではなく、丸ごとの新鮮な柑橘を用いて蒸留される。これは同社の象徴的な手法である。ボタニカルには、グレープフルーツ、ライム、オレンジ、ジュニパー、コリアンダー、アンジェリカ、リコリス・ルートが含まれ、さらに広く信じられているところではカモミールも使われている。
香りは、松脂を思わせるジュニパーの上にグレープフルーツとライムのオイル由来のシトラス香が立ち、ほのかなフローラルのカモミール香が添えられる。味わいはジュニパー中心で、ピンクグレープフルーツ、ライム、オレンジ果皮のシトラス主導の風味に、スパイシーなコリアンダーのニュアンスが加わる。フィニッシュは長く、ドライで、わずかに甘みがあり、ジュニパー、シトラス、そしてリコリスの気配が余韻として残る。
Hawkridge Distillers(ホークリッジ・ディスティラーズ)「The Store Gin」、アルコール度数40%、700ml
The Store Ginは2025年IWSCでClassic Gin TrophyとGold Outstandingメダルを獲得した。World Gin Awardsでは「World’s Best London Dry Gin」としても認定された。
このジンはHawkridge Distillersによるカスタムボトリングで、イングランドのオックスフォード、ブロード・ストリートにある歴史的なBoswells building内のホテル兼レストラン・バー「The Store」で販売されている。
正確なボタニカルの配合は全面的には開示されていない。クラシックなロンドン・ドライのプロファイルに基づき、ジュニパーを軸に、シトラスとスパイスが骨格を与える。
香りはクラシックなロンドン・ドライそのもので、まずジュニパーが前面に立ち、続いてレモンピールと各種スパイスが現れる。味わいはクリーンでキレがあり、ジュニパーとシトラスオイルの風味の後に、コリアンダーを思わせる胡椒のような刺激と、明確でドライな芯が続く。フィニッシュは長く、 爽快で乾いた印象で、ジュニパー、シトラス果皮、そして持続するスパイシーさが残る。



