北米

2026.01.03 14:00

ペットは税法上の「扶養家族」とすべき、米国の弁護士が起こした訴訟

Standret/Shutterstock.com

Standret/Shutterstock.com

米国人はペットを深く愛している。犬はベッドの足元で眠り、猫は家庭の主導権を握り、ペットの写真や動画はソーシャルメディアで数百万件の「いいね」を集める。米国のペット所有者のほぼ全員にあたる97%が、ペットを「家族だ」と答えているのも不思議ではない。

advertisement

しかし、ペットがどれほど飼い主に依存していても米内国歳入庁(IRS)が定める税法上の「扶養家族」には該当しない。こうした扱いを変えようと、1人の弁護士が立ち上がった。

ペットを税法上の「扶養家族」と認め、不公平な税負担の解消を求める訴訟

米国では、約9400万世帯がペットを飼っているが、税制上ペットは「家族」とは見なされていない。これを覆そうとする訴訟が最近、連邦地裁に提起された。ニューヨーク州とユタ州で弁護士資格を持ち、主に民事訴訟の保険防衛を専門とするアマンダ・レイノルズは、ニューヨーク東部地区連邦地裁に訴状を提出した。共同原告として名を連ねているのは彼女のペット、「飼い犬」のフィネガン・メアリー・レイノルズだ。

レイノルズによれば、8歳になるゴールデンレトリバーのフィネガンは、食事や住居、医療、しつけ、移動手段、日常生活のあらゆる面で、全面的に彼女に依存している。フィネガンには独立した収入はなく、生活拠点も彼女の自宅に限られており、年間の飼育費用は5000ドル(約78万円。1ドル=156円換算)を超える。こうした事情からレイノルズは、フィネガンは米国内国歳入法152条が定める「扶養」の要件のうち、人間であることを除く実質的な要素をすべて満たしていると主張する。そのためレイノルズは、ペットを連邦税法上で「人間ではない扶養家族」として認められるかどうかについて、裁判所の判断を求めている。

advertisement

訴状によると、犬は法律上は「財産」と分類されており、この分類は犬が家庭や家族の中で果たしている実際の役割を十分に反映していない。レイノルズは、フィネガンの世話に伴う責任は、「人間の扶養家族に対するものと同等であり、場合によってはそれを上回る」と述べている。彼女は、「あらゆる実質的な意味において、フィネガンは娘のような存在であり、間違いなく『扶養家族』だ」と記している。

それにもかかわらず、税法はペットの飼育に伴う経済的負担に対する救済を認めていない。このことは、人間の扶養家族に対しては、児童税額控除や被扶養者ケア控除、勤労所得税額控除など、「さまざまな税額控除や控除制度が用意されているのとは対照的だ」とレイノルズは記している。

介助犬との扱いの差に合理的根拠はなく、憲法違反および差別にあたると原告のレイノルズは主張

レイノルズは、この仕組みによって、「恣意的で不公平な税負担」が生じていると主張する。人間の扶養家族を経済的に支えている納税者は税制上の恩恵を受けられる一方で、同程度のケアを犬に提供している飼い主は何の優遇も受けられないからだ。とりわけ、IRSが介助犬などの一部の動物が税制上の優遇対象になり得ると認めていることを踏まえると、「こうした差は合理的な根拠を欠く」とレイノルズは指摘する。金銭的な観点から見れば、介助動物とペットの間に実質的な違いはない、というのが彼女の主張だ。

この訴訟は、現行の税法が合衆国憲法に定められた平等保護条項と財産権収用条項の双方に違反していると主張している。平等保護条項は、政府に対して法律を公平に適用することを求め、正当な理由なく人々を異なる扱いにしてはならないと定めている。一方、財産権収用条項は、私有財産を取り上げる場合に正当な補償を行うことを求めている。

レイノルズは、扶養対象が人間であるかどうかだけを理由に、同様の立場にある納税者を異なる扱いにすることは差別にあたると指摘する。ペットの扶養に対して税制上の優遇を認めないことは、本来受けられる控除がないために税負担が増えるという点で、不当な「収用」に該当すると主張している。こうした点を総合すれば、犬を「税制上の扶養資格を含む、限定的な市民的承認を受ける準市民」として認めることは正当化される、というのが彼女の考えだ。

この主張は一見すると突飛にも聞こえるが、レイノルズは「この訴訟は軽率でも根拠薄弱でもない」と強調し、裁判所が真剣に検討するに値すると訴えている。

次ページ > 裁判所は訴状に重大な法的欠陥があると認定し、証拠開示手続きの停止を決定

翻訳=上田裕資

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事