ロシア軍は現在、馬に乗ってウクライナ軍の陣地に攻撃を仕掛けるようになっている。ドローン(無人機)が戦場を上空から支配するなか、戦術がどのように進化しているかを示す新たな動きだ。
ウクライナ軍第92独立強襲旅団は、ロシア軍の騎馬部隊が陣地に接近してくるのを発見したことを報告している。同旅団が公開した動画には、騎乗兵らが探知され、続いてウクライナ軍のドローン操縦士に攻撃される様子が映っている。
動画の冒頭では、開けた土地をロシア兵1人が馬を駆って進んでおり、それをウクライナ軍のドローンが追尾している。続く場面では、その騎乗兵に向かって自爆ドローンが突っ込んでいき、兵士は身よじってそれをかわそうとしている。ドローンの爆発に驚いたのか、別のロシア兵を乗せて斜め後方を走っていた馬が急に方向を変え、直後に兵士は振り落とされる。
The Russian assault trooper-cavalryman on horseback was hit by an FPV drone of the 92nd Separate Assault Brigade.https://t.co/t3j1t74pXc pic.twitter.com/Kjp8AGHuSn
— WarTranslated (@wartranslated) December 22, 2025advertisement
米紙ウォールストリート・ジャーナルのヤロスラフ・トロフィモフ外交担当チーフコレスポンデントは「この戦争はかねて『ドローンのある第一次世界大戦』と呼ばれてきたが、とうとうロシアは騎兵部隊まで投入することにした」とX(旧ツイッター)に書き込んでいる。
第92旅団の迫撃砲中隊長であるアナトリー・トカチェンコは筆者の取材に「これにお目にかかったのはわたしたちも初めてでした」と説明した。彼によると、馬は静かに移動でき、車両よりもぬかるみにうまく対処できる手段と考えられている。
「わたしたちはオートバイに乗った部隊を撃破してきましたが、彼らはいまは泥のせいでしょっちゅう転倒していて、バイク自体も故障しています。いろいろな要因が絡んでいます」(トカチェンコ)
気象条件が戦場で一段の適応を強いている格好だ。ウクライナ軍第47独立機械化旅団の元将校ミコラ・メリニクも筆者のインタビューで「平原は現状では泥がひどすぎて、誰も通り抜けることができません。脚が完全に沈み込んでしまうほどなので、1km進むのに1時間かかることもあります」と語った。
第92旅団は、ロシア軍は歩兵による度重なる「肉弾突撃」で車両の損失が深刻になったため、代わりに馬での移動を試みるようになったとしている。これまでロシア軍の突撃部隊の間で広く使われてきたオートバイも、深い泥地では頼りにならず、ドローンによる攻撃にいっそう脆弱になっている。



