アメリカ航空宇宙局(NASA)の2024年10月の発表によれば、太陽は現在11年周期の「極大期」にあるという。つまり、その後1年ほどの間は大きな太陽嵐が発生して、美しいオーロラが見られる可能性が高いということになる。
2024年から2025年の冬、フィンランド北部のラップランド地域では例年以上にオーロラがよく観測された。天気や太陽活動の影響もあるが、SNSや旅行メディアを通じて「オーロラ観光」も世界的な注目を集めた。
1年遅れではあるが、筆者もそのトレンドに乗って今回フィンランドのラップランド地域まで出かけ、美しいオーロラを観察することができた。
そこで、オーロラ観光やサンタクロース観光がフィンランドにもたらす経済効果を分析すると同時に、観光立国として直面する課題や、2025年末に大きな波紋を呼んだ「ミス・フィンランド」問題についてもレポートしてみたい。
倍増を見込むオーロラ観光市場
「観光」はフィンランド経済においては重要な産業だ。2024年のフィンランドのオーロラ観光市場は、2250万(約35億円)ドル規模で、2030年までに4100万ドル(約64億円)超へと倍増を見込んでいる。
国全体の観光収入は2024年に37億ユーロ(約6800億円)を記録し、2025年から2026年冬にかけては130万人の外国人観光客によって13億ユーロ(約2400億円)の支出が予測されている。
日本人向けツアーも40万円から60万円の高価格での完売が続き、コロナ禍前と比べ1.5倍以上も料金は上昇し、人気が続いている。 そのうちラップランドへの観光が3分の2を占め(首都ヘルシンキは4分の1)、宿泊やアクティビティ需要が地方経済を活性化させている。
フィンランドのラップランドでは、年間を通じてオーロラが見られる可能性があるが、特に秋から春にかけてオーロラ見物を目的とした旅行需要が高まる。
現地ではビジネスとしてオーロラ観光を売り出すツアーや宿泊サービスが年々増加しており、旅行者は「オーロラ観光」を目当てに集まるようになった。フィンエアー(Finnair)などの航空会社もオーロラ観光を旅行商品として積極的にアピールしている。
オーロラ観光は、直接的な宿泊やガイド、交通費だけにとどまらない。観光客は現地で夕食や土産、アクティビティなどに費用を落とし、地域の雇用を生む。特に冬季は雇用が拡大し、観光業が地域の経済を支える柱となる。加えて、人気観光地では宿泊施設の増加や空港路線の拡充による周辺経済の活性化も見られている。
実際、オーロラ観光は夜に行われるので、昼間はすることがなく何かしらのアクティビティを楽しむことになる。アクティビティには、スノーモービルやトナカイゾリ体験、犬ぞり体験と雪山のなかでできる楽しいものが勢ぞろいしている。



