株式市場は、クリスマス前のいわゆる「サンタクロース・ラリー」への期待を背景に、史上最高値をうかがう水準までじりじりと値を上げている。S&P500種株価指数、ダウ平均株価、ナスダック総合指数はいずれも、2025年を通じて上昇し、過去最高値にも手が届く勢いだ。
そんな中、時価総額3兆ドル(約468兆円)規模のビットコインおよび暗号資産市場が、株式市場に対する警告サインを発している可能性がある。
「今後数週間で、暗号資産はさらに顕著な下落に見舞われる可能性がある。そのリスク回避の姿勢が、株式市場や新興国通貨にも広がることが予想される」。FxProのチーフ・マーケット・アナリストであるアレックス・クプツィケビッチは、Eメールでそうコメントを述べた。
クプツィケビッチはさらに、「暗号資産市場は、11月23日や12月2日の後に見られたような局所的な安値からの力強い反発を再現できなかった」と指摘し、これは売り手からの圧力が強まっていることを示していると付け加えた。この暗号資産の弱さは、投資家の間に不安感が広がっている兆候だという。
「市場が高値圏から離れた状態にとどまる期間が長くなるほど、大口投資家は弱気相場への転換をより強く信じるようになるようだ。衝動的な個人投資家とは違い、大口投資家は時間をかけて慎重に売却を進める傾向があり、彼らがすぐに買い戻しに転じることは期待すべきではない」。
暗号資産市場は、株式市場の動揺を示す先行指標と見なされてきた経緯がある。11月、シティのアナリストは、このビットコイン市場の弱さが、株式市場もそれに追随して下落する可能性を示唆するサインになり得ると指摘していた。
「特に株式市場がファンダメンタルズに基づくAIの物語に巻き込まれている状況では、ビットコインは純粋な流動性に対してより敏感な金融商品である可能性が高い」と、ダーク・ウィラー率いるシティのストラテジストは、マーケットウォッチが確認したメモの中で記している。
2026年にビットコイン価格が大きく下落するのではないかという懸念も高まっている。
「これまでの強気相場をすべて視覚的に並べてみる(チャートの波形を比較しパターンの類似性を調べる)と、145週にわたる上昇の後に付けた12万5000ドルという10月の高値は、想定されるパターンとかなりよく一致していることが分かる」と、資産運用大手フィデリティのグローバル・マクロ担当ディレクターであるジュリアン・ティマーは、Xに投稿した。
「ビットコインの冬はおおむね1年程度続いてきた。そのため、2026年はビットコインにとって『休みの年』になる可能性があるというのが私の見方だ」とティマーは述べ、6万5000ドルから7万5000ドルが下値水準になり得るとの考えを示した。



