中国国内で確認されている天体衝突クレーターは他に2つしかない。そのうちの1つが遼寧省にある直径1.8kmの岫岩(Xiuyan)クレーターで、正確な形成年代は不明なままだ。2021年には、黒竜江省にある部分的に埋没した盆地が地球外起源と確認された。直径1.85kmのこの依蘭(Yilan)クレーターは深さが300mを超えており、過去5万年以内に形成された可能性が高い。
2023年8月に発表された研究論文では、中国北西部のバダインジャラン砂漠で磁場と重力場の異常が観測されたと報告している。天体衝突構造と見なされている領域が砂丘で埋もれているため、直接的なサンプル(試料)採取はまだ実行できていない。さらに、2023年9月の論文では、中国北東部、吉林省通化市の白鶏峰山頂にある圏谷(カール)状の凹地が、10万年前に形成されたクレーターのリム(縁)である可能性が高いことが示唆された。
全世界に200個ある既知の天体衝突構造の分布に基づくと、中国国内にある衝突構造の数は世界平均を大きく下回っている。地質調査により、過去の天体衝突事象の痕跡が発見される事例がさらに増えることが期待されている。
今回の論文「Jinlin crater, Guangdong Province, China: Impact origin confirmed」は学術誌Matter and Radiation at Extremesに掲載された。全文はここで閲覧できる。
追加資料とインタビューは米国物理学協会(AIP)から提供された。


