今年3月、英国の権威ある広告業界誌が主催するアワードで、広告部門の「激励賞」を受賞した中村ホールデン梨華。「広告の民主化」を掲げ、炎上した広告を消費者の声を聞きながらつくり直す活動が評価された。英国人以外の受賞は初の快挙だ。
中村は2023年、Twitter(現:X)上で、炎上広告の分析をする「炎上広告チェッカー」の活動を始めた。ビジネス効果の分析はあっても、社会的視点の分析はなかったからだ。
「広告業界にはジェンダーや消費者保護の配慮や知見が不足していて、それが炎上につながっている。誰かがやらなければ変わらない、と思いました」
やがて大企業から講演依頼が舞い込むように。彼女が伝えるのは、批判の内容を想定したうえで「覚悟」を決めて表現を選び取る姿勢だ。
業界の常識や慣習にメスを入れる中村だが、今、試練の時を迎えている。今年2月「赤いきつね」CMの炎上背景に女性軽視があると指摘した彼女の投稿が、約800万回の表示を集め大炎上。殺害予告が届き、講演依頼はぱたりと途絶えた。それでも「人々が解決策を考える機会になるなら、批判を恐れず活動を続けたい」と毅然と語る。
現在の拠点は英国。19年に有害なジェンダーステレオタイプ広告が禁止されるなど規制強化が進んだ結果、同国では炎上広告がなくなったという。
「英国の広告倫理システムを模範にグローバル基準を浸透させ、日本社会に変革を起こしたいんです」
なかむら・ほーるでん・りか◎1996年生まれ。外資系企業の広告コンサルタントを経て英国の大学院留学。炎上から学べる社会をつくるAD-LAMPを2024年に設立。25年3月に英誌『Campaign』主催「Inspiring Women Awards 2025」で激励賞を受賞。



