京藍染師の松﨑陸が、2026年1月8日から18日まで、大阪・LAUGH & PEACE ART GALLERY OSAKAで個展『Laugh in Kyoai ―京藍の中で笑う』を開催する。本展では、お笑い芸人でありアーティストとしても活動するくっきー!とのコラボレーション作品が展示される予定だ。
松﨑は、約100年前に途絶えた京都原種の藍植物「京藍」を復活させた染色アーティスト。京都では約1200年前から藍の栽培が行われてきたが、都市化の影響により大正時代に一度途絶えた。松﨑は古文献をもとに、当時の産地や栽培方法を再現し、京藍の栽培から染色までの工程を現代に甦らせてきた。一般的な藍が畑で栽培されるのに対し、京藍は水田で育てられる点が特徴で、雑味の少ない澄んだ青色が生まれるとされる。
1990年に京都で生まれた松﨑は、22歳のときにニューヨーク滞在中に藍染と出合い、染色の道へ進んだ。帰国後は愛媛県西予市で養蚕から手織り、和裁までを一貫して学び、その後、約200年続く染色工房「染司よしおか」五代当主・吉岡幸雄氏に師事。正倉院宝物の復元事業にも携わり、2021年に独立後は京藍の復活を活動の軸に据えてきた。
近年は、妙心寺・桂春院への京藍壁観図の奉納や、唐招提寺への京藍染団扇の奉納を行っているほか、イタリアのラグジュアリーレザーブランド「Valextra」とのコラボレーション作品を発表。2025年大阪・関西万博イタリア館ではモレスキンとの協業作品が展示された。2025年には「KYOTO Next Award」で優秀賞を受賞し、Forbes JAPANが選出する「CULTURE-PRENEURS 30」にも名を連ねている。
今回の個展では、「京藍×奇笑(きしょう)」をテーマに掲げる。「奇笑」とは松﨑が名づけた造語で、「奇妙さ」や「予想外」と「笑い」を掛け合わせた言葉。ルールや常識から少しはみ出した瞬間に生まれる、理解不能なのに笑ってしまう感覚を言語化したものだという。
コラボレーション相手のくっきー!は、ネタ制作から美術制作まで手がける芸人として知られ、近年はアーティスト“COOKIE!”としても国内外で作品を発表している。唯一無二の世界観が評価され、ニューヨークで開催されるアートマーケット 「ARTEXPO NEW YORK 2019」にて最も注目するアーティスト5人に選出され、2020年より本格的にアーティストとしてアート活動を開始した。これまでに京提灯、京都老舗綿布商のてぬぐいブランドなど、伝統工芸とのコラボレーションを行ってきた。
会場は大阪・難波にあるLAUGH & PEACE ART GALLERY OSAKA。開館時間は13時から18時までで、火曜・水曜は休館。入場は無料。



