ビジネス

2025.12.26 17:15

金融×AIの「分水嶺」を超えてSMBCグループとSakana AIが見据える未来

三井住友フィナンシャル(SMBC)グループの磯和啓雄CDIO(左)とSakana AIの伊藤 錬COO(右)

磯和:こうした技術革新が進むと、銀行と一般事業会社の垣根はますます低くなります。EC・IT事業者が銀行業を営むように、我々もECやその他のサービスへと領域を広げていく――。AIはこの流れを加速させます 。

advertisement

伊藤:境界線が曖昧になっていくわけですね。

磯和:「SMBCってもともと銀行だったよね?」と言われるような未来が、意外と早く訪れるかもしれません。我々も業態を「トランスフォーム」していく。その時、AIによって顧客体験がどう変わるかが重要です。

伊藤:裏側のシステムがどれだけ効率化されても、顧客には伝わりにくい。次のステップは、AIによって顧客自身の生活が便利になったと実感できるサービスの提供ですね。

advertisement

磯和:SMBCグループでは、Sakana AIを「デザインパートナー」だと捉えています。汎用モデルを実務に落とし込むには、我々のようなユーザー企業が「これをやりたい」と特定し、泥臭く作り込んでいく必要があります。その点、SMBCのような規模をもつ日本企業が、世界に通用するユースケースを一つ確立できれば、それはグローバルなビジネスモデルになり得ます。

伊藤:レイヤー3での勝負は巨大テック企業に分がありますが、レイヤー3.5では日本企業に大きな勝機があります。特に、SMBCのように海外の視点(外国籍の従業員)を取り入れながら、組織やカルチャーまで変革しようとしている姿勢は、強力な武器になると感じます。

磯和:そう言っていただけると心強いですね。現在進めている協業案件においても、単なる業務効率化に留まらない、AIと金融の新しい可能性を皆様にお見せできる日を楽しみにしています。

伊藤:はい、ぜひご期待ください。本日はありがとうございました。

普段から交流があるSMBCグループの磯和CDIO(左)とSakana AIの伊藤COO。対談の内容はAIからブロックチェーン技術の活用に至るまで多岐にわたった
普段から交流があるSMBCグループの磯和CDIO(左)とSakana AIの伊藤COO。対談の内容はAIからブロックチェーン技術の活用に至るまで多岐にわたった

磯和啓雄◎三井住友フィナンシャルグループ グループCDIO兼三井住友銀行専務執行役員。1990年に入行後、法人業務・法務・経営企画・人事などに従事した後、リテールマーケティング部・IT戦略室(当時)を部長として立ち上げ。2022年デジタルソリューション本部長、2023年より執行役専務 グループCDIOとしてSMBCグループのデジタル推進をけん引。

伊藤 錬◎Sakana AI共同創業者兼COO。外務省、世界銀行、メルカリ執行役員(グローバル事業担当)、Stability AIのCOOを経て現職。東大法卒。米ニューヨーク大学ロースクール、スタンフォード大院修了。ニューヨーク州弁護士。外務省時代は、日米安保、日EU経済連携協定交渉に従事した経験をもつ。

編集 = 井関庸介 写真 = 若原瑞昌

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事