経済

2025.12.24 14:00

2026年「スマホとパソコン価格急騰」の見通し 世界的メモリ不足の影響で

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調査会社IDCのアナリストによると、世界的なメモリチップ不足により、今後1年でスマートフォンとパソコンの価格が急騰する可能性がある。

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急成長するAIデータセンターからのDRAM(コンピュータのメインメモリ:主記憶装置として使われる半導体チップ)の需要急増により、世界的なメモリチップ不足が発生しており、大手メモリベンダーでさえ在庫が不足しているとの報告がある。

IDCのクライアントデバイス担当バイスプレジデント、フランシスコ・ジェロニモによると、これによりスマートフォンとPCベンダーへの新しいメモリチップの供給が滞り、ここ数週間でDRAM価格が「かなり大幅に」上昇しているという。

「メモリの価格が急騰しており、利益率がはるかに厳しい低価格帯や中価格帯で事業展開するメーカーは、そのコスト増を消費者に転嫁せざるを得なくなるだろう」とジェロニモは述べた。

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スマートフォン価格の上昇

IDCの「悲観的」シナリオでは、2026年にスマートフォンの平均価格が8%上昇すると予測している。しかし、「この価格上昇幅は、利益率が極めて厳しい市場の低価格帯では、さらに高くなるだろう」とIDCのレポートは警告している。

スマートフォン市場の最大手であるアップルとサムスンは、巨額の資金と最大2年先まで続く長期的なメモリ供給契約を有しているため、この混乱を乗り切る可能性が高い。しかし、業界のこれらの巨人でさえメモリチップ不足の影響を免れず、IDCは来年のフラッグシップモデルが16GBではなく12GBのメモリにとどまると予測している。

低価格帯のスマートフォンメーカーは、端末のメモリ容量を削減することさえあるかもしれないが、ジェロニモによるとそれもまた問題を引き起こすという。「ほとんどのスマートフォンがクラッシュする主な理由は、メモリやストレージが不足しているからだということは周知の事実だ」と彼は述べた。

OSのアップグレードがハードウェアにさらに多くの要求を続ける中、状況は悪化する一方だろう。

PCメーカーが倒産の危機に

ジェロニモによると、PCメーカーにとって状況はさらに深刻で、存続が危ぶまれる企業もあるという。「今週、小規模なブランドを展開するPCメーカーと話したが、彼らは『この危機を乗り切れるかどうかわからない』と言っていた」

IDCの2026年に関する最も悲観的な予測では、PC価格はスマートフォンと同じく平均で8%上昇し、これによって出荷台数が前年比で9%減少する見込みだ。

このメモリ不足の危機は、PCメーカーにとって最悪のタイミングで発生した。Windows 10がサポート終了を迎え、企業がハードウェアの置き換えを検討している最中だからだ。ジェロニモによると、PCベンダーはすでに価格上昇を顧客に受け入れてもらうことに苦労しているという。「今週、あるベンダーから電話があり、『顧客が価格上昇について不満を言っているので、御社からのレポートが必要だ』と言われた」と彼は述べた。

「1〜2%ではなく、場合によっては15%、20%の値上げについて話している」とジェロニモは付け加えた。

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